夕食会・午餐会感想レポート

10月10日夕食会

先生は、北海道大学医学部教授、北海道大学病院病院長を経て北海道医療大学学長。ピロリ菌研究の第一人者で、ピロリ感染胃炎に対して除菌の保険適用を実現させた。ピロリ菌除菌と以後の定期的な内視鏡検査による胃がん撲滅計画を提唱している。

胃がんは、かつてがん死亡者数のトップで、多くの人が近親者をがんで失った経験を持っている(私のお世話になった伯母も胃がんで死亡)が、現在は治るがんのトップになっている。その最大の理由は、胃がんの原因が、感染症、喫煙及び生活習慣と明白になっていることである。感染症の主要なものは、ピロリ菌である。ピロリ菌は胃がんの原因になるだけではなく慢性胃炎の原因であり、そのうち一部が胃がんに発展する。胃がんは内視鏡により早期発見され、その多くは内視鏡により除去可能だ。他の要因の一つは喫煙と生活習慣である。現在喫煙は多くの病気の原因になることが一般にも普及されており、喫煙者数は明確に減少している。しかし、喫煙が大人の嗜みだと考えられたことがあり、私も大学に入ったころ、近所の自動販売機でタバコを買い一服してこんな不味いものを誰が吸うのだろうと感じて瞬時にやめた経験があった。私の上司でも、いまだに一定時間が来ると我慢が耐えられなくなり、一服するため席を外す人がいる。生活習慣の最大のものは辛い物即ち塩分である。日本、韓国、中国の胃がん患者が全体の60%と聞いて、「キムチ」を思い浮かべる人が多数いる。衛生観念から、最近韓国産キムチは好まれないことがあり、私の息子などは国内産キムチを好んで買っていたが、このデータを見せなければならないと思った。

ピロリ菌は1982年にワレンとマーシャルにより発見され、1991年に胃がんとの関わりが証明されている。近年急速にピロリ菌が胃がんの原因であることが、一般人にも浸透して人間ドックでもピロリ菌検査を選択する人が増えてきている。ピロリ菌除去の推進により胃がん患者が急速に減少してきた原因に浅香先生のご努力があったことを知り感銘を受けた。胃がんの原因の今一つの塩分接種量の減少は、降圧のための対策効果もある。

胃がんの原因として先生が挙げられた感染症、喫煙及び生活習慣の中に、遺伝が入っていないことに疑問を感じて、講演後先生に尋ねた。それに対する先生のお答えとして、「ピロリ菌の『ある遺伝子』が鍵となり、胃の粘膜が破壊され、胃がんなどに至ることを明らかにされた」とおっしゃった。またしてもピロリ菌犯人説の検証だった。

先生のお話は、医学における発見において、立てた仮説に対する実証の重要性を示すものだった。

(東大・工 上林 匡)

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