いまこそ『BX』について学ぼう ~社会変革のあらたな視点~
第4回目:レッドバイオとは? BXが日本人の健康寿命を延ばす!
いまこそ『BX』について学ぼう ~社会変革のあらたな視点~
みなさん、こんにちは。
次世代のコア技術の解説記事を各種メディアで発信しているライターの鈴木サトです。
本コラムでは、BX=「生物の力を借りて、社会や暮らしの質を向上させる」取り組みについて紹介しています。
第4回目:レッドバイオとは? BXが日本人の健康寿命を延ばす!
1.おさらい~BXとは?~
BX(Bio Transfromation)は、バイオ技術を用いて社会や経済を改善していく取り組みです。
エネルギーや食糧問題、健康・医療といった分野を生物の力を借りて変えていきます。
そして、BXの取り組みは分野ごとにホワイト、レッドなどで色分けされています。
色による分類は便宜的なもので、経団連が始めた日本独自のものです。
2.レッドバイオは医療を変革する!
レッドバイオは、バイオテクノロジーを用いて医療分野を改善する取り組みです。
バイオ医薬品の開発、再生医療や個別化医療によって、人々の健康促進に貢献します。
1)バイオ医薬品
バイオ医薬品は、遺伝子組み換えや細胞培養で製造された医薬品を指します。
ウイルスやバクテリアといった人体に有害な生物が、人の健康を支える薬品を作り上げます。
例えば、大腸菌にヒトインスリン遺伝子を導入することで、糖尿病患者に使用されるインスリンの大量生産を実現させています。
2)再生医療
再生治療で注目されているのが、あらゆる臓器に変化するiPS細胞です。
iPS細胞を活用した皮膚病の治療、角膜上皮再生、心筋再生などの研究が進んでいます。
将来的にはより複雑な臓器や四肢の再生も期待できます。
3)個別化医療
個別化医療は、患者一人ひとりの遺伝子やタンパク質の情報を分析し、
その特徴に基づいて最適な治療法を選択するアプローチです。
東北大学病院では「個別化医療センター」を設置し、患者の遺伝子解析や診療情報を活用した治療システムの構築を進めています。
3.私たちの健康寿命もレッドバイオで変わる!
レッドバイオは、私たちの健康寿命を大きく延ばす可能性があります。
個人のゲノム情報に基づいた治療を受けることで、効果向上だけでなく副作用の低減にもつながります。
また、疾患の早期発見や、予防医療の進歩が期待できます。
ゲノム情報から年齢ごとの疾患リスクを割り出し、事前に対策を行えます。
医療機関から未病患者に対して、疾患予防情報が配信される未来がくるかもしれません。
iPS細胞による再生治療の発展にも注目です。
皮膚や臓器の再生試験は進んでいますが、再生範囲はこれから拡大していく可能性があります。
皮膚・筋肉・骨・神経などを複合的に再生するような研究もおこなわれています。
歯や神経の再生は既に実験段階にあることから、実現に期待が寄せられます。
まとめ
日本人の平均寿命は、2024年時点で世界1位です。
レッドバイオによって健康寿命も延びることで、より長く幸せな人生が送れるようになります。
また「未病」という状態が現実的な課題であることも広く認識されていくかもしれません。
レッドバイオによる変革が進むことで、医療機関の仕事も疾患の早期発見・治療から「予防」へシフトしていくでしょう。
次回は、海洋資源の活用を進める「ブルーバイオ」を特集します。お楽しみに!