文字サイズ
背景色変更

夕食会・午餐会感想レポート

平成24年5月午餐会「中東危機の現状」

夕食会・午餐会感想レポート

5月21日午餐会

イラン問題に絞り感想を述べます。先生のお話によれば、核物質の濃縮が臨界値20%に達すれば、兵器転用可能な高濃度に達するのは樽を転がして行くようなものだそうです。27%に達したという報道もありました。この国の最高指導者ハメネイ師は、「核兵器を持つことはコーランの教えに背く。平和利用が開発の目的だ」と言っています。これが本音なのか、二枚舌なのか。神に仕え、神の言葉を伝える聖職者が世を欺くのか。

『フォーリン・アフェアーズ』誌最近号にこんな記事が載っていました。「脅迫的で強権的な政治体制は科学者や技術者を恐怖と強欲で開発に駆り立てるが、それは徒らに怠惰、腐敗や士気の低下を生み、開発プロジェクトは機能不全に陥る。かつてのリビアやイラクがその好例であり、イランも例外ではない」というのがその要旨です。

両方とも首肯でき兼ねます。選挙結果を操作する者の言を信ずる気にはなれません。既に臨界線を超えたイランの核技術の水準は、北朝鮮やパキスタンからの技術導入もあり、稚拙なリビアやイラクの比ではないと思います。

2年前、私的な旅行でイランに約1ヶ月滞在したことがあります。私を含めてわれわれ日本人はあまりにも彼の国のことについて無知です。航空機便の休止、貿易量の減少など、両国を結ぶ糸は細くなる一方です。しかし、幸いにまだ国交はあります。外交努力や文化交流を通して、イランが外に向かって心を開くよう、欧米や中ロと違った役割を日本が果たせるような気がします。又、しなければならないと思います。

(九大・経、増田 稔)