文字サイズ
背景色変更

夕食会・午餐会感想レポート

2021年10月午餐会「見ることの常識が通じない錯視研究の最前線」

夕食会・午餐会感想レポート

10月20日午餐会

いわゆるだまし絵についてはマウリッツ・エッシャーのものが有名で一般向け科学誌などで見たことがあるが「網膜像には奥行き情報がない」という根拠をもとに脳の機能から錯視を解析するお話は大変斬新で興味深かった。

また英国の科学者ロジャー・ペンローズはノーベル賞をもらっているということも初めて聞いた。調べてみると確かに2020年のノーベル賞をブラック・ホールの形成と一般相対性理論の関係性に関して物理学賞を受賞している。また、ペンローズ・ホーキンの特異点定理という定理に名を残しているということも分かった。

しかしこの辺りのことが錯視の研究とどのように関係するかは浅学菲才の身には分かりかねるがそれはさておきこの講演で特に興味を引いたのは坂道の錯視で屋島ドライブウエイのお化け坂の例を示されたがこれはいわゆる「マグネット・ヒル」として知られているもので実際は下りなのに錯視で登りに見えてあたかも磁石に引かれるように登ってゆくのでそのように言われている。国内に200箇所以上あるそうで東京近辺で例はないかお尋ねしたところ中央高速の上り線の小仏トンネル入り口の手前がそうだとのことであった。ここは渋滞名所で知られているが登りなのに下っているように見えるのでつい減速してしまうらしい。実はこの錯視の研究は遊びに止まらず実用性が高いことが分かる。小仏トンネルでは渋滞予防につながり下りだが登っているように見える場所では速度制限をして事故防止に役立つ。そいう意味でも大変面白いお話であった。

(東大・理 京極浩史)