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関西茶話会

「第57回関西茶話会」が開催されました

市 大樹 先生 市 大樹 先生

2月15日(土)、中央電気倶楽部にて、大阪大学大学院人文学研究科 教授の市 大樹氏を講師にお迎えし、「9世紀後半の危機と現代日本―疫病、自然災害、地球温暖化、都市問題、排外主義―」を開催しました。

市先生は、普段は日本古代史、最近では飛鳥時代を研究されていますが、今回の講演では9世紀後半に起こった現代社会ともつながる事象について取り上げられました。
平安時代に編纂された、清和天皇、陽成天皇、光孝天皇の3代である天安2年(858年)8月から仁和3年(887年)8月までの30年間を扱う勅撰の歴史書『日本三代実録』に基づき解説がありました。
蔓延する疫病については多数の死者が発生し、貞観5年(863)には朝廷主催の御霊会が催されたこと。頻発する自然災害では、陸奥国(東北地方)に大地震が起こったこと。南海地震により津波が大阪湾を襲っていることや天皇が屋外へ避難し、紫宸殿の南庭に御在所を設けられたこと等が紹介されました。
海外からは新羅からの来襲、それに備えるための警備体制の強化が課題となったが、貞観11年には新羅海賊が博多津を襲い、略奪が行われ、また、肥後国においても地震風水害が起こり、各地での災害・来寇などから天皇は伊勢神宮、石清水神社に使者を遣わし、奉幣したことが披露されました。
市先生は、『貞観年間の状況を紹介しましたが、現代にそのまま通じるものではないが、何か参考になるのではないか』と結ばれました。