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『知っておこう“人事”~法律から実務まで~』
第1回目:人事ってどんな仕事をしているの?

みなさん、こんにちは。社労士ライターの安森です。
やすもり社会保険労務士事務所の代表として各種メディアで発信しています。
社労士は国家資格の八士業の一つ。
人事・労務の専門家として、20代のみなさんに知っておいてほしいことを、
全6回のコラムでお届けします。質問・コメント大歓迎ですのでよろしくお願いします。

第1回目:人事ってどんな仕事をしているの?

1.はじめに

七大学卒の優秀なあなたが会社に入ってみると、「有給休暇は1年目から15日」とか「住宅手当は5万円」とか、好条件が用意されているはずです。
「社員2人以上でランチに行くと昼食代は全額会社負担」なんていうベンチャー企業の話を聞くと、働く条件とは会社により大きく異なるということが分かると思います。 
近年、人事に関する戦略や制度が企業経営にとってますます重要になりつつあります。
また 「働き方改革」「テレワーク」「DX」など、仕事のやり方が一変する『ゲームチェンジ』が続き、これまでの人事施策を積極的に見直していく動きがさらに強まっています。
このコラムでは人事に関わる制度や規程が、それぞれの企業でどのように定められ、みなさんが何を知っておくべきこと、ポイントを絞りながらお届けします。
いつかあなたが社長になったときや、起業をするときにも役立つテーマですよ。

2.人事部とは

※違う名称で呼ばれることもありますが本コラムでは「人事部」と称します。

人事部とは、企業のなかで社員の採用や研修を担い、人事評価制度の設計・運用や、社員の労務管理を担当する部門です。重要な経営資源である「ヒト」を引き受ける企業の中心ともいえます。
人事部が企業の中で重要な役割を果たすのは、経営戦略と人事戦略が密に連動するものだからです。
“どのような人を採用するか”“どのように育成するか”という方向性は、経営戦略に沿って決定されます。
また、CFO(最高財務責任者)、CTO(最高技術責任者)などと同じく、その分野における総責任者という位置付けで、CHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)を置き、経営幹部の一員として事業運営に携わるような制度も採用されています。

3.ヒトは企業にとって大切な資

質の高い人材の確保と育成は企業経営に直結する課題ですが、近年、生産年齢人口は減少傾向にあることに加え、働く側の意欲の変化や多様化する働き方などにより、企業側の考え方も大きく変わりつつあります。
企業はヒトを資本と捉え積極的に投資する考えをもって、人事施策を打ち出すことが当たり前の時代になりました。
急にベタな話になりますが、労働基準法により、一定数以上の常勤の従業員が働く企業では就業規則を定める必要があります。
「就業規則」の一部である「人事規程」は、人事関係(人事評価規程、育児・介護休業規程、フレックスタイム制規程、セクハラ・パワハラ規程、懲戒委員会規程等)、賃金関係(賃金規程、退職金規程、旅費規程等)、福利厚生関係(慶弔見舞金規程、社宅制度規程等)など、非常に多岐にわたります。これらを全て読み込んで、その基となる法令の趣旨を理解するのは、人事担当部署の職員でもなかなかできることではありません。
次回以降のコラムでは、こうした複雑な規程網のなかから、特に注目すべき部分を解説していきたいと思います。『決めごとを知る』とあなたの会社がどのような人事戦略を考えているのか垣間見ることができるかもしれません。

まとめ

社会情勢の変化とともに「働き方」が大きく変わりつつある。
その「働き方」を形作る「制度」や「趣旨」を理解して、みなさんの成長に繋げていきましょう。

【参考】
「シン・人事の大研究」 人事パーソンは何を学び、どんなキャリアを描いているのか?

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