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学士会メールマガジン

No022号 2004/10/1 配信分


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★★★学士会メールマガジン         No.022
★★★2004年10月号          http://www.gakushikai.or.jp
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いつもメールマガジンをお読み下さいましてありがとうございます。
┌─────────────────────────────────┐
◇ INDEX
└─────────────────────────────────┘
[1].今後の夕食会・午餐会の予定
[2].学士会ニュース
[3].イベントのご案内
[4].学士会館同窓会情報[七大学関係の同窓会]
[5].過去の月報ピックアップ[学士会月報NO.462(大正15年9月)号より]
[6].会員からの投稿コーナー
[7].今月の一冊
[8].メルマガ読者限定プレゼント

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        ● 今後の夕食会・午餐会の予定 ●
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◆ 夕食会 10月  8日(金):  演題『チベット調査からみた中国とインド』
                              講師 中根 千枝氏
                             (日本学士院会員・東京大学名誉教授)

      11月 10日(水): 講師 長谷川 博氏
               (東邦大学理学部教授)

      12月 10日(金): 講師 三浦 永光氏
                (津田塾大学教授)

◆ 午餐会 10月 20日(水): 演題『世相あれこれ』
                 講師 三重野 康氏
               (元日本銀行総裁)

      11月 22日 (月):  講師 北澤 宏一氏
               (独立行政法人科学技術振興機構理事)
 
      12月 20日(月):  12月の午餐会は例年どおり休会です。


⇒ http://www.gakushikai.or.jp/event/index.html

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          ● 学士会ニュース ●
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◆≪学士会館に日本料理店がオープン≫………………………

 9月17日(金)に学士会館本館1階に日本料理店「二色(にしき)」がオープン
しました。会計時に学士会カードをご提示くださると、5%割引となります。
 皆様のご利用を心からお待ちしております。

 また、7月14日にオープンしました中国料理店「紅楼夢」も、引き続き、ご
利用をお待ちしております。

 ※旬菜寿司割烹「二色」のお問い合わせ
  03-3292-3960(二色 直通)
  定休日は毎週日曜日及び祝日です。
 ※中国料理店「紅楼夢」のお問い合わせ
  03-3292-0880(紅楼夢 直通)
  定休日は毎週日曜日のみ(祝日は営業)です。

 ※宴会場での中国料理等のお問い合せ
  03-3292-5940(学士会館精養軒 宴会部 直通)

 ⇒ http://www.kouroumu.com


◆≪ブライダルフェアーのご案内≫≫…………………………

日程:平成16年10月9日(土曜日)
時間:11:30~17:00
場所:千代田区神田錦町3-28 学士会館

学士会館には、お二人の晴れの日の装いを最高に引き立てる格調あるたたずま
いがあります。
大正ロマンの華やかなレリーフと、漆喰の重厚な柱……
歴史ある建物が醸しだす本物の風格と優雅さを、この機会に是非ご体感くださ
い。

また、館内のチャペル・神前式場、披露宴会場なども装飾しております。
当日は、経験豊富なスタッフが婚礼全般についてご説明、ご相談を承ります。
スタッフ一同心よりお待ちしておりますので是非、お気軽にお立ち寄り下さい。

≪来館された方への特典≫
15:30~ 模擬披露宴 (弦楽四重奏・デザートブッフェ無料サービス付)
新規ご成約頂いたカップルに5,000円分のお食事券プレゼント
フルコース試食(¥5,000/要予約)も承ります。
* 試食を希望される方は1週間前までにご予約が必要となります(洋食のみ)
* 当日プレゼントの5,000円お食事券での試食は出来ませんのでご了承下さい。

次回開催予定日:平成16年11月14日(日)
11:30~17:00

≪知人・友人ご紹介キャンペーン≫
年内にご成約となるカップルをご紹介頂いた方にオーベルジュパック
(豪華ディナーと宿泊のセット16,000円相当)をプレゼントいたします。
皆様のお近くにご結婚をお考えの方がおられましたら是非、ご紹介して下さい。

お問合せ TEL 03-3292-5940  FAX 03-3292-0882
     E-mail:g-kaikanka@gakushikai.or.jp
     担当:澤田、内野、渡辺


◆《学士会カード会員受付中》…………………………………

 学士会カードのお申し込みを引き続き、承っております。学士会館内に新た
にオープン致しました日本料理店「二色」をはじめ、「紅楼夢」「ラタン」で、
学士会カードを提示下さいますと5%割引となります。

 学士会カードに関するお問い合わせ・資料請求先はこちらです。
 学士会企画係 TEL:03-3292-5955(平日9:00~17:00)
 メールinfo@gakushikai.or.jp

 ⇒ http://www.gakushikai.or.jp/card/card.html <<

 ダイナースクラブカード 0120-041-962(24時間 年中無休)
 ホームページはこちら:
 ⇒ http://www.diners.co.jp/intro/card/teikei/gakushi_idx.html <<

 シティバンクカード   0120-86-69-24(24時間 年中無休)
 ホームページはこちら:
 ⇒ http://www.citibank.co.jp/ccsi/gakushikai.html <<


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           ● イベントのお知らせ ●
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◆遠藤律子 ジャズ コンサート ◆◆◆

<紅葉~愛にあふれて>
▲出  演:遠藤律子トリオ、遠藤律子(ピアノ)、山口彰(ベース)、中沢
      剛(ドラムス)、スペシャルゲスト・中川昌三(フルート)
▲開催日時:10月2日(土) 開演18:30(開場18:00)
▲会  場:学士会館神田本館2F 「奏楽の間」(201号室)
▲料  金:前売一般 3,500円 前売会員 3,200円(当日プラス200円)
      1ドリンク付

⇒ http://www.gakushikai.or.jp/seminar/jazz.html

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◆第7回 活弁in学士会座 ◆◆◆

<『サンライズ』 ~弁士・澤登翠&澤登翠のシネマトーク~>
▲監  督:F・W・ムルナウ
      1927年 フォックス作品
▲活動弁士:澤登翠
▲ピアノ :柳下美恵
▲開催日時:10月6日(水) 開演18:30
      (開場18:00・上映終了20:10・トーク終了予定21:00)
▲会  場:学士会館神田本館2F 203号室
▲木 戸 銭:前売り2,500円(当日3,000円) 赤ワイン付
      学生は2,000円(当日学生証提示)

▲Webからのお申込はこちら
⇒ http://www.gakushikai.or.jp/seminar/katsuben0803.html

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◆第2回 壤晴彦の詠み芝居 ◆◆◆

<『走れメロス』 ~朗読・壤晴彦>
▲出  演:壤晴彦 演劇倶楽部「座」 長須与佳(尺八)
▲開催日時:10月24日(日) 開演14:00(開場13:30・終了予定16:00)
▲会  場:学士会館神田本館2F 「小宴の間」(203号室)
▲料  金:前売一般 3,500円 前売会員 3,200円(当日プラス200円)
      1ドリンク付

*チケット予約
学士会企画係まで氏名・連絡先住所・電話番号・枚数をお知らせ下さい。

⇒ http://www.gakushikai.or.jp/seminar/yomishibai0410.html

TEL   :03-3292-5955(平日9時~17時)
FAX   :03-3292-2779(学士会事務局)
e-mail:info@gakushikai.or.jp


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*チケット予約
学士会企画係まで氏名・連絡先住所・電話番号・枚数をお知らせ下さい。
⇒ http://www.gakushikai.or.jp/seminar/event_tokyo2.html

TEL   :03-3292-5955(平日9時~17時)
FAX   :03-3292-2779
e-mail:info@gakushikai.or.jp
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      ● 10月の学士会館同窓会情報(七大学関係の同窓会) ●
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┏━━━━━━┓
┃学士会館本館┃東京都千代田区神田錦町3-28    電話:03(3292)5936
┗━━━━━━┛

 1日(金)東京二育会
     東大理学部弥生会
     北島原動会
     造兵会
     東大航原22年会
     21年一工航原会
     一二三会
 2日(土)精密S32年卒クラス会
     昭27理一9B会
     京大経済懇話会
     笥友会
 3日(日)長致会
     ちぐさ会
     東大33船舶会
 4日(月)芙蓉会
     緑丁会
 5日(火)舟ケ沢山会
     東大薬学部55会
 6日(水)NB会
     一日会
     神田会
 7日(木)一木会
     東鉱会
     23年東大応化会
 8日(金)東京青陵会総会
     東京カラス会
     東大学生文化指導会OB会
     東大数学科34年卒同期会
     桜林研究会
 9日(土)RTSを懐かしむ会
     慧の会
     東京川又会
     水和会
11日(月)高橋重宏ゼミ縦断同窓会
12日(火)徳永会
     つくば会
     29計測同期会
     赤煉瓦の会
     吉富会
     育土会
     機愛会
     月曜会
13日(水)一誠会
     二水会
     南風会
     清朋会
     常盤会
     Z会
     東北大学電気18年卒クラス会
14日(木)蟻が崎の会
     じらく会
     経済記事を読む会
     AF会
     田友会総会
     36L117B
     十四日会
     赤門剣友会
15日(金)よさん会
     槻の木会
     東大文1七の会
     21年東大二工電気クラス会
     30会
     十五日会
     昭14入学東大航空機械
     四方山会
16日(土)阪大原子核実験グループ同窓会
     霊明会
     大洋会
     栴檀同友会
17日(日)駒場会
     恵泉会
     コーネル会
     拾芳会
     香永会
     竹の子会
18日(月)あすなろ会
     東京銀杏会
     東京教育懇話会
19日(火)北大薬学部東京同窓会
     貝塚ゼミ研究会
     メタラギ会
     昭和13年理二会
     稜光会
20日(水)東大31年理1-4B同窓会
     有終会
     鵬友会
     南溟三水会
     美竹会
     東京40会
     三水会
21日(木)椎の木会
     アロマの会
22日(金)萩明会
     昭和35年物理学科卒
     菊池会
     赤門剣友会
     コンロン会
     東大電気33年卒同窓会
     東大工学部昭和16年卒航空クラス会
     小友会
     京大東京工化会
     東北大学理学部泉萩会
     東大工学部造兵学科昭和20年卒クラス会
23日(土)43L1Ⅱ7Bクラス会
     地球化学研究会
     東大鉱山昭23年会
     そえじま会
     赤門テニスクラブ東大庭球部
24日(日)地物パイの会
     705会
     三宝会
     8B会
25日(月)理念哲学研究会
     二三機会
     物理紀央会
     藤の会
     メカ時計OB会
26日(火)南溟土木会
     黒砂会
     あらくさ会
27日(水)愛光ニュートン
     第35回東京江原会
     精密クラス会
     十八文乙会
28日(木)関岡教授を囲む会
29日(金)京大理化24年会
     京極会
     東大弁論部縦の会
     第16回金属シニアー会
     東大応化16・12会
30日(土)法律英語研究会
     朽津研究室同窓会
     翠光会
     東大狂言研OB会
31日(日)東大船舶S31クラス会
     塔の会


┏━━━━━━┓
┃ 学士会分館 ┃東京都文京区本郷7-3-1     電話:03(3814)5541
┗━━━━━━┛東京大学構内赤門隣り

 1日 (金)東大土木昭49年卒同窓会 
 2日 (土)二七出会
     第10回第3内科看護室同窓会
     東大薬学部昭和59年卒同窓会
 6日 (水)アイヨット会
 7日(木)昭10向陵会
 9日(土)東大農芸化学昭54年卒同窓会
13日(水)船舶十三年会
16日(土)69回4組クラス会
     農化36クラス会
     東大薬理学教室同窓会
     東大機械学科朝田研OB会
19日(火)29-7D会
22日(金) 松本高校22回理甲クラス会
28日(木)GEM22会
29日(金)昭和20年卒機械クラス会
30日(土)旧制弘高28会

※9月20日までに確定しているもののみです。

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【幹事代行サービスのご案内】
会員様の要望の高かった“幹事代行”サービスを、内容を一新して再スタート
しました。
ご案内状をお送りするリストを頂ければ全てこちらでトータルコーディネート
致しますので、この機会に是非ともご利用ください。

■サービス内容:①案内状の印刷作業・発送作業 ※費用は実費のみ頂きます。
        ②出席者の把握
        ③出席者名簿作成・準備
        ④会場・受付・備品等の準備
        ⑤名札の作成・準備
        ⑥宴会の準備
        ⑦当日受付・精算のお手伝い
        ⑧会計報告書の作成
        ⑨欠席者への資料送付
        ⑩次回開催の予約
        ⑪宿泊の手配

≪オプション≫  記念写真
 通常お一人様1,800円+文字入料5,000円のところ、今回特別価格1,300円で
ご提供いたします
(撮影料・郵送代・技術料・文字入れ料を含む)

≪お問合せ・ご連絡先≫
Tel 03‐3292‐5940  Fax 03‐3292‐0882(小平・内野)
e‐mail:g-kaikan@gakushikai.or.jp

⇒ http://www.gakushikai.or.jp/info/secretary.html


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          ● 過去の月報ピックアップ ●
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┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃□┃バルカン事情
┃□┃堀口九萬一
┃□┃             学士会月報No.462(大正15年9月)号より
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 バルカン事情と申しましても、主にセルビア、ブルガリア及びルーマニアの
事情を略説し、かたがた所謂マセドニア問題、並びにベッサラビア問題に関す
る大体の事情をお話しします。

 セルビアは我が九州と四国を合わせた程の大きさです。欧州大戦の初めから
して独墺と戦ったので、一番酷くいじめられました。国都は2回までも砲撃さ
れ、市街はめちゃめちゃに破壊され、鉄道橋梁は見る影も無く破壊されました。
ベルサイユ条約の時、英仏側の代表者はセルビアの永年の困苦に報いようとし
て、オーストリアハンガリーの土地を割いて、セルビアに与えた結果、セルビ
アは戦前の4倍半の土地を得、従って人口も大いに増加した次第です。フラン
スは今後長くドイツの背後を脅かしたい考えから、努めてバルカン諸国をかば
っているのです。ところが新たにセルビアに属した新領地における住民は、元
はオーストリアハンガリーに属していたわけです。
 戦前はオーストリアハンガリーは高く自ら標置して、セルビアなどを眼下に
見下していました。然るに戦後に至っては、眼下に見下していたセルビアがそ
の割譲された地方の政権を握り、これらの人民を指揮統率することになったの
ですから、その不平は容易に想像し得られるところです。

 次にマセドニア問題の成行を少し述べてみましょう。マセドニアはその民族
の種類が複雑でギリシャ人、アラビア人、トルコ人、セルビア人、ブルガリア
人等の人種を抱合し、言語、風俗、宗教が悉く異なっております。従って、こ
れが政治上の衝突を惹起して、古来、平和に治まった時代は絶無と申しても良
い位で、いかなる政治的天才がこれを治めんと試みても、統治の実の挙がった
事のない地方です。

 マセドニアは戦前、ブルガリアの領地に併合されていましたが、戦後、ブル
ガリアの土地はセルビアとギリシャとに分割されました。そこでセルビアはマ
セドニアにおける多数のブルガリア人を支配することとなりましたが、その行
政上の取扱に関して多少偏頗処置があったものらしいので、ブルガリア人は不
平を唱えだしました。かつ、ブルガリア人は、戦前までは侮っていた小国のセ
ルビアの支配下に就くことは、心中大いに飽き足らないのでした。
 即ち、戦前既に30年以来、マセドニアの独立を標榜して起ったマセドニア独
立党なるものがあり、その会員は四方に散布されていますが、その数30万と称
せられ、アレキサンドロフがその頭目でした。このアレキサンドロフはブルガ
リア人でありながら、マセドニア独立のために既に永年ブルガリア政府に反抗
してきましたが、今またマセドニアがセルビア領となってからはセルビア政府
に反抗するのです。
 ここにおいてセルビア政府はブルガリア政府に交渉して、アレキサンドロフ
を取り鎮めようとしました。ブルガリア政府はセルビアの抗議により、表面は
アレキサンドロフを罰しますが、内心ではその反抗運動を歓迎している有様で
す。かくの如くアレキサンドロフの運動はセルビアにも反抗し、同時にブルガ
リアにも反対してマセドニア独立を企てているところですから、赤露のバルカ
ン赤化運動本部はこれを奇貨おくべしとなし、アレキサンドロフを赤露の用に
供せば、バルカンの赤化は労少なくして効の甚大なるを見込み、ここにおいて
アレキサンドロフを懐柔して自家の薬籠中に入れんと試みました。

 即ち窃かにアレキサンドロフを助けんことを申し出て、彼と握手せんことを
提議したのです。然るにアレキサンドロフは、赤露の提議を断然拒絶したのみ
ならず、あべこべにバルカンの各新聞紙上に公開状を以って赤露に向けて返答
して曰く、『赤露のインターナショナルは資本金と兵力と鉄砲とを与えるから、
赤露に従えと申込んできた。しかし余は露国の犬になるために長年苦心惨憺し
てきたのではない。余の唯一の目的はただマセドニアの独立にあるのみ』と。
かくて彼は部下に命じて赤露との通信を一切絶たしめました。
 ここにおいて赤露は思へらく、彼れアレキサンドロフは、味方とすれば大い
に頼むべき人物だが、その代わり、かくの如く敵意を示したる以上は恐るべき
一敵国であるから、如何なる方法を以ってしても彼を除かざるべからずとなし、
遂にアレキサンドロフの部下を買収して山中で暗殺せしめました。アレキサン
ドロフの部下はこの暗殺について大いに赫怒して、その裏切り者を殺し、両派
相殺戮しあい、当時ブルガリアの首府ソフィア付近の住民は、一日の安寧を保
つことが出来ませんでした。
 かくの如く、赤露はアレキサンドロフの篭絡に失敗した後、益々赤化運動の
手段を強調し、遂にはブルガリア国王の暗殺を企てました。王様が或る日曜日
に狩猟に出て、月曜の朝10時のお帰りを途に要したのです。インターナショナ
ルの4名の者どもは、王様の帰路を要して発砲いたしました。侍従武官、書記
官、運転手は即座に射殺されましたが、王様は自動車の転覆の刹那、車体に覆
われて不思議にも生命は助かったので、すぐに付近の竹やぶの中へ飛び込まれ
て潜伏しておられた。
 その後、賊どもが去りし後、乗合馬車に乗って王宮へご帰館されました。王
は直ちにインターナショナル掃討に着手されましたが、既に赤露の手は宮中府
中の別なく瀰漫し、上下とも買収せられし者も少なからず、人々各々相疑うま
でになりましたが、ここにおいて赤露の赤化圏は一挙にブルガリアを赤化して
その政権を掌握せんことを企て、ついに昨年4月ソフィア大伽藍爆発の陰謀を
行ったのです。この寺院爆発なるものは、真に寒心すべき大陰謀です。
 まず、そのために赤化団が朝野に人望ある一元老を殺害しました。それは即
ちその翌々日大伽藍において葬式を行わせようとする予備手段であったのです。
予測のとおり、葬式は翌々日ソフィア寺院で行われた。これに参列するものは
現内閣員一同は勿論、文武高官並びに富豪や名士の人士は悉く一堂に集まった
のです。赤化団はブルガリア国内の優秀の士を一度に殺戮せんと企てた。実に
恐るべき陰謀でした。
 この爆発の厄に遭った死者は225人、その中には議員13名、弁護士、貴族8人、
閣員、陸軍高官等を含んでいます。幸いにして首相は負傷しただけで大した事
がなかったので、首相は直ちに臨時閣議を開き、かつ各政党の援助を得て、極
端なる赤化退治を実行いたしました。事後にこれを顧みて、実に危ないことで
ありました。セルビアは欧州大戦の近因となりましたように、欧州大乱の動機
はなおバルカン方面に残っているような気がしてなりません。

 最後に、露国とルーマニア間の懸案たるベッサラビア問題についてお話しま
す。ベッサラビアはルーマニアの東北に位置し、露国と境を接しております。
その広さは九州くらいの大きさで、昔はトルコ領でありましたのを、1812年に
露国に取られました。以前、トルコと露国とはいつも10年おきくらいに戦争が
ありました。ロシアの南下政策は、ピョートル大帝の雄国にしてコンスタンチ
ノープル方面にロシアのはけ口を見つけねばならぬ、という計画のためです。
露国のために考えてみるに、実際北海は氷で閉ざされ、ウラジオは遠すぎます
から、黒海からコンスタンチノープルへ出るより仕方がないのである。然るに
ベッサラビアはダニューブ(ドナウ)の入口です。ダニューブ川はドイツ、オ
ーストリアの大国を貫いております故、ベッサラビアを領略すれば、独墺の咽
喉を制するわけです。
 然るに欧州大戦の始めに当って、英仏に同盟していた露国が、戦争の中頃革
命が起こってドイツと単独条約を結び、英仏側と離れた結果、ベッサラビアは
ルーマニアのものとなりました。即ち、106年を経てベッサラビアは故国ルー
マニアに合することを得たのです。そして、ベッサラビアのルーマニアへの併
合条約には、英、仏、伊、日の諸国がこれに調印しているのです。
 表面上はこれでベッサラビア問題は解決したようなものの、実際のところは
未だ落ち着かない点があります。即ち、昨年3月のウィーン会議においてロシ
アは劈頭第一にこの問題を提出したところが、ルーマニア使節はこの問題は既
決問題であるから、もし露国大使がベッサラビア問題に触れることがあれば、
本使は直ちにウィーンを立ち去ると宣言して、遂に何らの結果を見る事なしに
ウィーン会議は解散してしまったので、今もってこの問題は実際には未決問題
として残っています。

 要するに、バルカン諸国はまだ極めて不安定な位置に置かれてあります。各
国とも大戦の創痍が癒えましたら、またどうグラつくか判りません。そして、
その火元は或はまた、バルカン諸国にあるかも知れないのです。
(特命全権公使)

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        ● 会員からの投稿コーナー ●
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=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-==-=-=
○下記の展覧会に出展してます。
よろしくお願いします。
八束 正司夫(やつづか ましお)
**************************************************
ART FREAKS展2004 part II
2004年10月10日(日)~10月15日(金)
10:30-18:00(最終日は16:00まで)
くりっく 世田谷文化生活情報センター ワークショップB
東急田園都市線・世田谷線 三軒茶屋駅下車 徒歩1分

○個展「マイセルフ:やつづか ましお展」を開催します。
ご高覧をおまちしています。
八束 正司夫(ヤツヅカ マシオ)
***************************************************
マイセルフ:やつづか ましお展
2004年10月18日(月)~10月22日(金)
9:30-18:00 (最終日は16:30まで)
トウキョウ マリン ギャラリー
東京都千代田区丸の内1-2-1
東京海上ビル新館B1F
JR東京駅(丸の内側)徒歩3分、
東京メトロ大手町駅徒歩3~5分、二重橋駅徒歩5分

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-==-=
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
《皆様からの投稿募集》
※会員の皆様からの投稿を募集しています。ご投稿者全員に学士会記念品セッ
 トを進呈しています。投稿は、匿名希望でも承っております。
※また、会員の方からのご要望により、会員の方のホームページを紹介してい
 くことにしました。ご自身のホームページを紹介したい方は、ホームページ
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          ○ 今月の一冊 ○
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◇『黄昏の詩人 ─堀口大學とその父のこと─』
◇工藤美代子著・マガジンハウス・2001年刊

 今号の月報ピックアップで取り上げた堀口九萬一は、詩人堀口大學の父。本
書では、帝大から外交官へと進んだ父と、歌人として名を成した息子の対照的
な歩みを浮き彫りにする。
 戊辰戦争で長岡藩の足軽だった父を3歳の時に亡くした九萬一は、母と乞食
のような暮しをしながら、「勉強さへできれば」の一念で勉学に励む。母も、
25歳の若さで無念の戦死を遂げた夫の忘れ形見である息子を、なんとしても偉
くさせたいと、機織りの技術を身につけ、夜も帯を解いて寝たことがないほど
だった。
 九萬一はその期待に良く応え、長岡中学、新潟師範学校と進み、東京へ出る。
そこで、東大法学部の前身、司法省法学校にトップで合格、卒業後、第1回外
交官試験に通り、外交官として名を成した。まさに九萬一は母の懇親の力が込
められた作品とも言える。

 息子の大學は、九萬一に外交官の道を継ぐ期待をかけられたが、中学時代か
ら普通の学問には興味を失い、どっぷりと文学に傾斜していく。そのため、長
岡中学卒業後上京したものの、一高受験に2年連続で失敗、そこで慶應に学び
ながら与謝野寛、晶子夫妻の新詩社に入社する。九萬一はその後も諦めきれず、
銀行の就職口を斡旋したり、外交官試験を無理矢理受けさせてもいる。大學は
歌で「詩人(うたびと)を長男にもつわざはいを 父の嘆けば秋の風吹く」
「悄然と父嘆ずらく『たそがれを愛づるに過ぐる長男を持つ』」と読んでいる。
 しかし、文学を愛し、漢詩を330首も残した九萬一には、大學の豊かな才能
の萌芽も、はっきりと見て取っていた。日記には「大學より来簡、承詔一首。
歌やよし、かなし。」とある。

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◎下記の招待券を抽選にて1組2名様にプレゼントいたします。

★展覧名:「牛腸茂雄(ごちょうしげお)展 ─自己と他者─ 」
 場 所:三鷹市美術ギャラリー(東京都三鷹市下連雀3-35-1 コラル5F)
 会 期:平成16年9月11日~10月24日(月曜日休館)
 応募先:Eメールにてinfo@gakushikai.or.jpまで。
 記 載:件名を「牛腸茂雄展招待券」として会員番号とご氏名、ご住所を明
     記して下さい。
 締切り:10月5日着信メールまで(先着順ではなく抽選です)。
 発 表:10月7日までの招待状の発送を持って代えさせて頂きます。
 ※近年再評価の気運著しい、夭逝の写真家、故・牛腸茂雄(ごちょうしげお)
  の回顧展が、夏から秋にかけて全国を巡回しています。『SELF AND OTHER
  S』『日々』『見慣れた街の中で』などの写真集収録の全作品にくわえ、初
  期作品、インクブロット、関係資料など約250点をそろえ、作家の全貌を示
  す初めての回顧展です。お近くにお住まいの方は、ぜひお出かけください。

◎下記の招待券を抽選にて1組2名様にプレゼントいたします。

★展覧名:「中国唐王朝の華 唐三彩展」
 場 所:松岡美術館(東京都港区白金台5-12‐6)
 会 期:平成16年9月4日~12月25日(月曜日休館)
 応募先:Eメールにてinfo@gakushikai.or.jpまで。
 記 載:件名を「松岡美術館招待券」として会員番号とご氏名、ご住所を明
     記して下さい。
 締切り:10月10日着信メールまで(先着順ではなく抽選です)。
 発 表:10月15日までの招待状の発送を持って代えさせて頂きます。
 
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