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学士会メールマガジン

No016号 2004/4/1 配信分


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★★★学士会メールマガジン     No.016
★★★2004年4月号          http://www.gakushikai.or.jp
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いつもメールマガジンをお読み下さいましてありがとうございます。

┌─────────────────────────────────┐
◇ INDEX
└─────────────────────────────────┘
[1].今後の夕食会・午餐会の予定
[2].学士会ニュース
[3].イベントのご案内
[4].学士会館同窓会情報[七大学関係の同窓会]
[5].過去の会報ピックアップ[學士會会報NO.774 昭和62年1月号より]
[6].会員からの投稿コーナー
[7].今月の一冊

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         ● 今後の夕食会・午餐会の予定 ●
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◆ 夕食会 4月 9日(金):
         演題『イラク情勢と自衛隊派遣問題』
         講師 酒井 啓子氏
        (アジア経済研究所地域研究センター参事)

      5月 10日(月):
         演題『法隆寺のものさしは中国南朝尺』
         講師 川端 俊一郎氏
        (北海学園大学経営学部教授)

      6月 10日(木):
         講師 村上 和雄氏
        (筑波大学名誉教授)

◆ 午餐会 4月 20日(火):
         演題『中華世界の変動と日本』
         講師 中嶋 嶺雄氏
        (国際教養大学学長・国際社会学者・前東京外国語大学学長)

      5月 20日(木):
         講師 ロナルド ドーア氏
        (ロンドン大学経済パフォーマンス研究所上級研究フェロー)

      6月 21日(月):
         講師 青柳 正規氏
        (東京大学文学部教授)


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            ● 学士会ニュース ●
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       《学士会館宿泊フロントが1Fに移りました》
 先月から、学士会館の宿泊フロントが4Fから1Fに移動しました。常連の
方は当初戸惑いもあるかと思いますが、宴会フロント、会計等の業務を総て1
Fフロントに集約し、ご利用しやすく致しました。皆様のご宿泊を心からお待
ちいたしております。
学士会宿泊部 TEL:03-3292-5938(年末年始・夏休みを除く9:00~21:00)

           《海外在住会員の方へ》
 4月は異動、転居の季節です。多くの海外在住会員にも会報をお送りしてお
りますが、送料の関係上、シーメールを活用しております。会報到着に一ヶ月
前後を要しますので、ご異動が決まりました際は、なるべく早めに学士会事務
局までお知らせくださいますようお願いいたします。異動連絡のお知らせは学
士会会員課まで。
学士会会員課 TEL:03-3292-5933(平日9:00~17:00)
メールkaiin-ka@gakushikai.or.jp

        《レストラン「ラタン」貸切日のご案内》
 誠に勝手ではございますが、レストラン・ウェディングによる貸切のため学
士会館レストラン「ラタン」が5月4日(火)10:00~16:30の間、クローズとな
ります。7:30~9:30のモーニング、17:00~21:00のディナーはオープンし
ております。
 ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんが、ご理解のほど何卒よろしく
お願いいたします。
学士会館 レストラン「ラタン」 TEL:03-3292-5936(学士会会館課)

           《学士会カード会員受付中》
 学士会カードのお申し込みを引き続き、承っております。
学士会カードに関するお問い合わせ・資料請求アドレスはこちらです。
学士会企画係 TEL:03-3292-5955(平日9:00~17:00)
メールinfo@gakushikai.or.jp

>> http://www.gakushikai.or.jp/card/card.html <<

ダイナースクラブカード 0120-041-962(24時間 年中無休)
ホームページはこちら:
>> http://www.diners.co.jp/intro/card/teikei/gakushi_idx.html <<

シティバンクカード   0120-86-69-24(24時間 年中無休)
ホームページはこちら:
>> http://www.citibank.co.jp/ccsi/gakushikai.html <<

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           ● イベントのお知らせ ●
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◆第4回 活弁in学士会座 ◆◆◆

<『生れてはみたけれど』 ~弁士・澤登翠&澤登翠のシネマトーク~>
▲監  督:小津安二郎
      1932年 松竹キネマ(蒲田撮影所)制作
▲活動弁士:澤登翠
▲開催日時:4月10日(土) 開演・14:00
     (開場13:30・上映終了15:30・トーク終了予定16:20)
▲会  場:学士会館神田本館1F レセプションホール
▲木 戸 銭:前売り2,500円(当日3,000円) ワイン&グリッシーニ付
      学生は2,000円(当日学生証提示)

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◆学士会館で落語会 その六 ◆◆◆

<柳家小はん独演会>
▲演  目 【妾馬】
      【お見立て】
▲開催日時:2004年5月13日(木) ◎18:30 笑い始め(18:00開場)
▲場  所:学士会館神田本館1F レセプションホール
▲木 戸 銭:2,000円 * 喉湿し・笑止税込み
▲全席自由:定員150名(満席の場合、当日券を発売しないことがありますの
      で、必ずご予約をお願いいたします)

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◆リュートが奏でるルネサンス音楽 ◆◆◆

▲曲  目 【美しき乙女、マリア】【もはや希望は買うまい】
      【フェッラーラ風パヴァーナ】【スペイン風カラータ】他
▲開催日時:2004年5月29日(土) 15:00開演(14:30開場)
      終演(17:00)後親睦会(別費用2,500円)
▲場  所:学士会館神田本館1F レセプションホール
▲チケット:一般3,500円  学士会会員・学生3,000円
▲全席自由:定員150名

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*チケット予約
学士会企画係まで氏名・連絡先住所・電話番号・枚数をお知らせ下さい。
>> http://www.gakushikai.or.jp/seminar/seminar.html <<

TEL   :03-3292-5955(平日9時~17時)
FAX   :03-3292-2779(学士会事務局)
e-mail:info@gakushikai.or.jp
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     ● 4月の学士会館同窓会情報(七大学関係の同窓会) ●
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学士会館本館
 1日(木)一木会
 2日(金)法三会
 3日(土)いろは会
     四〇三の会
     東大科哲の会
     大塚セミナー
     碧素会
     翠光会
     杜鞍会
 5日(月)東大土木29会
     九州二八会
 7日(水)一日会
     北大昭和23年会
     応化会
     神田会
 8日(木)研二木
 9日(金)昭和22年鉱山学科クラス会
     29年文一9B会
10日(土)造船武蔵会
     三重同工会
     東京大学詩吟研究会
12日(月)東大50会
     駒場野球部OB会
     月曜会
14日(水)あすなろ会
     はたち会
     赤門剣友会
     十四会
15日(木)十五日会
     36L1-7B会
16日(金)いざよい会
     昭和23年文1の会
     阪大電気35年卒同窓会
17日(土)東京大学自転車部OB会
     北燃会
     東京大学神経内科
     栴檀同友会
     慧の会
18日(日)東大電気18年会
19日(月)月月会
     東京工化会
     昭和32年東大L113Dクラス会
21日(水)南溟三水会
     弥生会春の会
     原研・化学研
     三水会
     ふすま21文甲クラス会
     鈴木ゼミ七月会
     農経クラス会
     京大二八会
23日(金)京大東京工化会
     槻の木会
     東大地球物理S26年卒クラス会
     東大紫工会
24日(土)東大農工24卒クラス会
     弥生会
28日(水)水曜会(東大第一外科)


学士会分館
 1日(木)三木会
 3日(土)永田町ふじだな会
     あせび会
 5日(月)京華商38期会 
 8日(木)33年火薬コース
 9日(金)やはらぎ会
10日(土)一高文一クラス会
12日(月)富士見会
13日(火)船舶十三年会
14日(水)赤門鉄路クラブ
15日(木)GEM22会
16日(金)東大二工電気クラス会
19日(月)東京一八会
24日(土)昭16-3卒物理クラス会
     田中敬一先生を囲む会
     VSAの会

※3月20日までに確定しているもののみです。

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◆ 幹事代行サービス承り中 ◆◆◆

 学士会事務局では、同窓会幹事代行サービスを承っています。学士会館で同
窓会を開催される幹事さんのお手伝いをします。

 ①会場の予約
 ②案内状の印刷・発送
 ③出席者の名簿作成
 ④看板・名札の準備
 ⑤会場のレイアウト
 ⑥受付の準備

 といった業務を幹事の方に代わって準備します。切手・葉書代等の実費はご
負担いただきますが、手数料等はいっさい頂きません。

*お問い合わせ/お申し込み(平日9時~17時)
 学士会事務局 TEL:03-3292-5955
 Eメール info@gakushikai.or.jp

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          ● 過去の会報ピックアップ ●
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┃□┃日本の経済的繁栄はいつまで続くか
┃□┃水谷研治
┃□┃               學士會会報No.774(昭和62年1月号)より
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.厄年を迎える日本経済
 第二次世界大戦が終って42年目を迎える。
 壊滅的な打撃を受けたのは原子爆弾を落された広島と長崎だけではない。一
晩の空襲によって東京都民は約10万人も死んでいる。ほとんどの地方都市が空
襲によって焼け野原となった。爆撃を受けた工場では働きに来ていた少年少女
が手足を吹き飛ばされて何百人も死んだ。
 住む家はなく、寒さを防ぐ着物もなく、食べるものがなかった。工場は廃墟
となり資材も機械もなかった。海外からは、戦火に追われ生き残った人々が引
き揚げてきた。皆が生きるために懸命に働いた。まさにドン底からの出発であ
った。
 気がついてみると日本経済は多くの点で世界一となっていた。一人当りの国
民総生産でアメリカを凌駕して世界最大になろうとは誰が予想したであろうか。
 脇目も振らずに頑張ってきて、社会的にもある程度の地位を得、まがりなり
にも一家を設け、生活も楽になり幸福を一手にした感がある。ところが夢中で
働いてきた間に体のあちこちに病巣が生じ、放っておけば一巻の終わりとなる
可能性が出てきた。
 42歳は男の厄年である。前厄に当る昭和60年にはドル急落のショックが襲っ
た。本厄の昭和61年にはドル安が進行して日本経済は打撃を受け、後厄の昭和
62年にはその影響が本格化して経済全般に行き渡るものと予想される。戦後42
年目を迎えるに当たり、我々は従来のままではやっていけなくなってきている。

2.経済の繁栄と体質の悪化
 日本経済がここまで隆盛になったのは国民の努力があったためである。戦後
の復興に当たっては基礎的な部門の振興に重点が置かれ、そのために国民生活
が犠牲となった。それだけの強力な施策がなければ、その後、長く経済を成長
させることはできなかったであろう。時の政府と指導者が立派であっただけで
なく、それを受け入れた日本国民の偉大さがその後の発展の基礎を築いたとい
っても良いであろう。
 しかし、復興は単に日本国民の努力だけで達成されたわけではない。とくに
重要なのは我が国の置かれた環境と世界の情勢である。米ソの対立激化は日本
経済に有利に働いたと見てもよいであろう。我が国は経済的発展を目指して一
直線に突き進むことが出来た。奇跡的によみがえった日本はさらに体力をつけ、
今日の繁栄を見るにいたっている。
 一見して同じような経済活動が続いていても、その間に体質が順次強化され
る場合もあれば、体質が悪化する場合もある。一般に体質を改善するためには
努力が必要であり、犠牲を払わなければならない。そのため日常的にはマイナ
スになるのが普通である。いいかえれば日常の経済活動の面での犠牲を払うこ
とによって、はじめて経済体力の強化ができるのである。逆に経済体質や社会
環境の悪化を辞さないとすれば、日常の経済活動を派手にすることは容易であ
る。借金を増大させるならば、表面的に繁栄を続けることは難しいことではな
い。
 表面的な繁栄に惑わされて体質の悪化が起こっているのを見逃しがちである。
しかし、たとえ経済繁栄が続いても、体質が悪化していけば、やがては日常の
経済活動を続けることができなくなり、早晩、問題点の解決に取り組まねばな
らなくなる。問題の拡大過程で繁栄してきただけに、問題を縮小するためには
経済的繁栄を犠牲にせざるを得ない。当然のことながら経済水準の低下は厳し
いものとなろう。
 現状の日本経済は一見して順調な拡大を続けているように見える。しかし最
近における経済的な矛盾はとうてい続けられない程の大きさになっている。そ
れは他国の責任に属する部分が大きいとはいえ、そのプラス面を満喫している
我が国としては対応を考える必要がある。さらに重要なのは我が国自身の体質
の悪化である。自ら蒔いた種が麻薬の花を咲かせ、自らを蝕みつつある。禁断
症状に耐えてどのように体質を改善するかが今後の最大の問題となろう。

3.累積債務問題と世界経済の潮流
 中南米を中心とした累積債務国の問題は簡単に解決できない難問である。借
金の金利払いのために借金がかさみ、さらに金利の支払いが増大しているから
事情はまことに深刻である。
 このような結果になる過程で世界経済は拡大していった。南北問題として注
目された発展途上国への援助の一環として行われた先進国からの融資により、
発展途上国は国内開発を進めていった。それに応じて発展途上国は先進国から
輸入をし、先進国は輸出を増加させることができた。そのため先進国の経済は
成長し、それにつれて発展途上国からの輸入も増大していった。それは発展途
上国にとってもプラスになり、国内需要が増大して先進国からの輸入を誘発し、
それがまた先進国の成長を高めることに繋がったわけである。このようにして
先進国から発展途上国への融資は両者を共に繁栄させ世界経済を力強く押し上
げる働きをしてきた。しかしながら、その一方で世界には発展途上国の累積債
務という大きな矛盾ができてしまった。
 累積債務国が債務を返済できない以上、先進国としては従来のように資金を
貸すことができない。このことは従来と同じような世界経済の拡大ができなく
なったことを意味している。以前とは反対に発展途上国は債務返済のため、少
なくとも利子の支払いのために、国内の経済を縮小して輸入を圧縮しなければ
ならない。このことは先進国の輸出を減少させ、先進国の経済成長を低下させ
て輸入の減少を招き、それが発展途上国の先進国への輸出削減へと結び付いて
いく。このようにして戦後30年以上にわたって世界経済を拡大してきた要因は、
今後何十年にもわたって世界経済を縮小する要因となっていくと考えられる。

4.国際収支の不均衡
 もう一つの問題は国際収支の不均衡が拡大している点である。我が国の貿易
黒字が膨大であり、アメリカの国際収支の赤字の大きさが想像を超えている。
このことは我が国にとっては問題ではないが、赤字国であるアメリカにとって
は大変である。膨大な赤字を続けているアメリカは大量の輸入のために多額の
資金を使い果たし、世界から多くの借金をして赤字を補填している。そのため、
長い間、金持ち国であったアメリカは借金国になってしまった。
 アメリカは昔から金持ち国であり、世界一の経済大国であったように考えら
れがちであるが、かつては他国から金を借りていた借金国であった。アメリカ
が借金国から金貸し国へと転換したのは1914年から1919年の間であり、その後、
貸金と借金との差である対外純債権を順次積み上げていったのである。それが
最大になったのは1981年末で史上最高の1407億ドルを記録した。1983年末には
885億ドル減少したが、まだ世界一の金持ち国であった。ところが1984年末に
は44億ドルに急減し、1985年末にはマイナス1075億ドルとなってしまった。
 70年振りに借金国への転落である。しかもアメリカは今や世界最大の純借金
国である。アメリカの経済の大きさからすれば1000億ドルの借金は驚くほどの
金額ではない。しかし史上最高の金持ち国が史上最高の借金国になるのにわず
か4年間、世界最大の金持ち国が、世界最大の借金国になるのに2年間しかかか
っていない。この調子で進めばアメリカは金利支払いのために借金が増大して
累積債務国へと転落していくであろう。それでも他国から借金ができるならば、
輸入を続け国際収支の大幅な赤字を続けることができるが、そのようなアメリ
カに対して世界の人々が引き続き金を貸すであろうか。金貸しの心理としては、
金持ち国アメリカに対しては金を貸すものの、借金国でしかも債務が累積する
段階のアメリカに対して従来と同様に金を貸していくとは考え難い。
 今日のように膨大な国際収支の不均衡を是正するために経済摩擦が激化し、
日本側の輸出の自主規制やアメリカ側の輸入制限が強化されるかもしれない。
しかし現在の不均衡は、そのような人為的な政策によって調整できる限界をは
るかに越えている。最後に残された方法としては「見えざる手」に頼るしか方
法がなく、ドル相場の低下は避けられないように思われる。
 どの方法によるにせよアメリカの国際収支の赤字が大幅に減少することは、
我が国からの輸出が大幅に減少し国際収支の黒字が縮小して正常化することを
意味している。現在の我が国の経済水準は大幅な黒字に支えられた異常な高さ
にあり、遠からずして正常な水準へと低下せざるを得ないことは明らかである。
他国を犠牲にした異常な経済活動が長続きするはずがないからである。

5.子孫に残す借金
 我々にとって最大の問題は財政の赤字である。昭和50年度以来、毎年多額の
財政赤字を積み重ね、国の借金である国債の発行を続けてきたため、国債残高
は今や150兆円に迫る勢いである。
 アメリカの財政赤字が問題となっているが、我が国の赤字比率はアメリカの
赤字比率を上回っている。国の借金を国民総生産で割った借金比率は主要先進
国の中で我が国が最大となっている。
 国債の金利支払いは財政支出の中でも最大の項目となり、しかも依然として
毎年10兆円以上も国債が増発されているため支払い金利は毎年着実に増大して
いる。そして金利支払いのために国債を増発しなければならず、いわゆるサラ
金地獄に近づいているため、これ以上の財政赤字が許されないところへ追い込
まれてしまった。
 今後、我が国が国際社会の中で自立していくためには国の支出増大が見込ま
れる。そのためにはある程度の余力を作っておかねばならず、たとえ相当な犠
牲を払っても国の借金を削減することが緊急に必要となろう。
 国債を増発する過程では財政による需要が増大するため日本経済は高い成長
を続けることができた。十余年にわたり我が国経済は国の借金によって、より
繁栄することができたのである。もし正常な財政節度を守っていたならば、こ
れほどまでの経済拡大はなく経済成長率も低かったはずである。繁栄の一方で
我々は莫大な借金を子孫に残してしまった。その利子の支払いは末長く子孫を
苦しめるであろう。
 本来ならば我々が十年余りで作った借金であり、我々の手で返済していくべ
きものである。返済するには借金をした年数の何倍もの期間がかかるであろう。
その間、日本経済は財政からの支援がなくなって経済成長が鈍化するだけでは
なく、借金経済のために従来とは逆に、その分だけ余分に経済が縮小すること
を覚悟しなければならない。

6.勤勉性、貯蓄心、向上心
 現在の日本経済の根本的な問題点は供給過剰にあり、それを解決する方法と
して生産を削減することと消費を振興することが奨励されている。生産を抑制
するためには働き過ぎを是正し、過剰なものを無くすために消費を盛んにすれ
ばよいことは事実である。それらが現在の問題解決の方法であることを否定し
ないが、このような行動が将来により大きな問題を引き起こすことを忘れては
ならない。
 そもそも人間は働くよりも遊んでいるほうが楽しい。一度遊ぶ楽しみを身に
つけた人々が再び真剣に働くのは難しい。歴史上世界を制覇した民族は、その
時点で懸命に働いていたのではなかろうか。しかし一度、勤勉さをなくした民
族は再び世界史のひのき舞台には登場していない。
 貯蓄も不自然なことである。欲しいものに手を出さず、欲望を押さえつけて
将来のために蓄えておくことは、よほど意思の力が強くなくてはできない。世
界の首脳は自国民に対して絶えず貯蓄を呼びかけており、日本人の貯蓄心に対
して嫉妬心を持って眺めているのではなかろうか。
 さらにまた貯蓄した分を将来のために投資していく向上心が重要である。将
来に対する向上心を失えば発展性がなくなり、進歩する世界の中で取り残され
ていくことになろう。
 我々は先輩から貴重な精神構造を引き継いできた。戦後の廃墟から立ち直り
発展を続けたのは、勤勉であったこと、貯蓄を続けたこと、そしてそれを元に
して投資する向上心を持っていたためではなかろうか。我々はこの貴重な精神
構造を遺産として子孫に引き継ぐ必要がある。それさえあれば我々は長い年月
を掛けても多くの問題を克服することができ、日本経済の将来は再び明るくな
ると思われる。しかし、もし目先の問題解決だけのために、この基本的な考え
方を失うとすれば、すでに大きな矛盾を抱えているだけに我が国経済の繁栄は
意外に早く終焉を迎える可能性があるのではなかろうか。
(東海銀行取締役調査部長)


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       ● 会員からの投稿コーナー ●
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=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-==-=-=
下記に私の作品「Place de Paris」を展示しています。
よろしくおねがします。

中央区の街並みを描く会「区内施設展示」
~平成16年8月10日まで

中央区役所2階東ミニギャラリー
9:00-17:00(土・日祝日休み)

中央区築地1-1-1中央区役所
主催:中央区教育委員会
*****************************
八束 正司夫(やつづか ましお)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-==-=
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
《皆様からの投稿募集》
※会員の皆様からの投稿を募集しています。ご投稿者全員に学士会記念品セッ
 トを進呈しています。投稿は、匿名希望でも承っております。
※また、会員の方からのご要望により、会員の方のホームページを紹介してい
 くことにしました。ご自身のホームページを紹介したい方は、ホームページ
 アドレスと30字前後の紹介文を学士会企画係までお知らせください。
※展示会等の告知も承っております。

※投稿については、下記メールアドレスにお送りください。
 info@gakushikai.or.jp


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            ● 今月の一冊 ●
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆『世界最強 名古屋経済の衝撃』
◆水谷研治著・講談社・2004年刊

 今月の会報ピックアップでも取り上げた著者は、1933年愛知県名古屋市生れ。
名古屋大学卒業後、東海銀行に入行。ニューヨーク支店長、調査部長、専務等
を経て、東海総合研究所(現・UFJ総合研究所)社長、会長、理事長を歴任。
1999年から中京大学大学院教授。経済学博士。学士会会員。
 急激な円高ドル安やバブル崩壊を予測するなど、大胆な経済観測で知られる。
本書では、特定企業の詳述ではなく、名古屋出身の著者ならではの名古屋人の
精神風土や名古屋の地理的特性などを中心に論述、愛知万博や中部新空港など
元気な名古屋経済の源泉をたどる。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
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         総編集長:社団法人 学士会 事務局長   鎌田敬士
         編集長 :社団法人 学士会 総務課 課長 川西 勝
         発  行:社団法人 学士会 総務課 
              〒101-8459 東京都千代田区神田錦町3-28