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学士会メールマガジン

No010号 2003/10/1 配信分


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★★★学士会メールマガジン     No.010
★★★2003年10月号         http://www.gakushikai.or.jp
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いつもメールマガジンを購読頂きましてありがとうございます。

┌─────────────────────────────────┐
◇ INDEX
└─────────────────────────────────┘
[1].今後の夕食会・午餐会の予定
[2].学士会ニュース
[3].イベントのご案内
[4].学士会館同窓会情報[七大学関係の同窓会]
[5].過去の会報ピックアップ[學士會会報NO.702(昭和44年1月号)より]
[6].会員からの投稿コーナー
[7].今月の一冊

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         ● 今後の夕食会・午餐会の予定 ●
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◆ 夕食会 10月10日(金)  高橋 哲哉氏
             (東京大学大学院総合文化研究科教授)
      11月10日(月)  山本 博文氏
             (東京大学史料編纂所教授)
      12月10日(水)  藤原 帰一氏
             (東京大学大学院法学政治学研究科教授)

◆ 午餐会 10月20日(月)  菊池  誠氏
             (東海大学名誉客員教授)
      11月20日(木)  植草  益氏
             (東京大学名誉教授・東洋大学経済学部教授)
      12月20日(土)  忘年家族会
        21日(日)  忘年家族会

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            ● 学士会ニュース ●
          ≪学士会カードを発行しました≫
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 学士会では、本年9月からクレジット機能付きの学士会カードを発行しまし
たところ、早速、多数の会員よりお申し込みを頂きました。
 誠にありがとうございます。
 カード特典としまして、以降の学士会年会費の無料制度(学士会ダイナース
カードおよび学士会シティバンクゴールドカードのみ)や学士会館利用時のク
ラブポイントの2倍付与、JTB神保町支店でのツアー割引などを用意してお
ります。
 また、本年12月までにお申し込みされた方には、カード年会費の初年度無料
キャンペーンも行っております。
 今後の展開としましては、学士会カード独自のサービスを充実していきます。
まず、全国の美術館、博物館の割引優待特典をリストアップ中です。
 この機会に、何卒、学士会カードへのご入会をお願い申し上げます。
お問い合わせ 学士会 企画係(平日9:00~17:00)
TEL 03-3292-5955
e-mail:info@gakushikai.or.jp
URL   :http://www.gakushikai.or.jp/card/card.html

ダイナースクラブカード 0120-041-962(24時間 年中無休)
シティバンクカード   0120-86-69-24(24時間 年中無休)
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           ● イベントのお知らせ ●
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◆学士会館で落語会 その参 ◆◆◆

<桂藤兵衛独演会>
▲演目【そば清】
    他一席
 助演:柳家喜多八
▲開催日時:10月16日(木) 午後6:30 笑い始め(6:00開場)
▲場  所:学士会館神田本館1F レセプションホール
▲木戸銭 :2,000円

*チケット予約
学士会企画係まで氏名・連絡先住所・電話番号・枚数をお知らせ下さい。
→≫ http://www.gakushikai.or.jp/seminar/seminar.html ≪←

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◆学士会企画による研修ツアー 第2弾◆◆◆

【東京の近代建築を訪ねる】<三舩康道会員を講師に迎え>
 ~ジョサイア・コンドルの建築をめぐる旅~

 7月に松尾剛次会員(山形大学教授)を講師に迎え、大好評だった鎌倉ツア
ーに続き、第2弾としましてジョサイア・コンドルの近代建築ツアーを行いま
す。東京の街並みから、文化財産である歴史的建造物が次々と姿を消していく
なかで、いまも大事に使用されている近代建築の価値と保存の意味を研修しま
す。高輪の「開東閣」は通常非公開ですが、今回は特別に見学許可をいただき
ました。昼食は綱町三井倶楽部のフルコース付(通常5,000円)です。学士会
会員とその同伴者限定のツアーですので、お一人でもお気軽にご参加ください。

▲三舩康道(Yasumichi Mifune)
 1949年、岩手県に生まれる。千葉大学工学部建築学科卒業、東京大学大学院
都市工学科博士課程修了(工学博士)。一級建築士・技術士。新潟工科大学教
授を経て、現在(株)エコプラン代表取締役。歴史・文化のまちづくり研究会
代表。著書に『東京の近代建築』(監修)、産経新聞に「まちの名建築」を連
載中。

◆日  程:11月12日(水)8:30~17:00予定
◆内  容:旧岩崎邸・綱町三井倶楽部・三菱開東閣を見学予定
◆旅行代金:20,000円(昼食は三井倶楽部のフルコース)
◆募集人員:35名(最少催行人員30名)

※お申し込み受付は先着順とさせていただきますので、定員に達した場合には
止むを得ずお断りする場合もございます。ご了承ください。
※建造物入口まではバスで参りますが、建物内部はエレベーター、エスカレー
ターがございません。見学中は徒歩が多くなりますので、お含みおきください。

◆お申込み締切日:10月10日(金)消印有効    
◆JTB添乗員が全行程同行いたします。 

ご旅行に関する、お申込み・お問い合せは
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
JTB「学士会研修ツアー」係
TEL:03-3263-9024・9037
FAX:03-3234-1446
受付時間(月)~(金)9:30~17:30(土・日・祝・祭日休業)

〒101-0003千代田区一ツ橋2-3-1
 JTB東京神保町支店
 一般旅行業務取扱主任者 江田裕紀 / ツアー担当 相馬浩

企画/制作:学士会企画係 旅行主催:ジェイティービー 
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

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◆第2回 活弁in学士会座 ◆◆◆

<『瀧の白糸』 ~弁士・澤登翠&澤登翠のシネマトーク~>

▲監   督:溝口健二/1933年入江プロ作品
▲活動弁士 :澤登翠
▲開催日時 :11月14日(金) 開演・18:30
      (開場18:00・上映終了20:00・トーク終了予定21:00)
▲会   場:学士会館神田本館1F レセプションホール
▲木 戸 銭:前売り2,500円(当日3,000円) ワイン&チーズ付
              学生は2,000円(当日学生証提示)

*チケット予約
学士会企画係まで氏名・連絡先住所・電話番号・枚数をお知らせ下さい。

→≫ http://www.gakushikai.or.jp/seminar/seminar.html ≪←

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◆キッズセミナー ◆◆◆

<【南極教室】 ~元・越冬隊隊長、渡邉興亞会員を講師に迎え>

◆日  程:11月24日(月・祝日)14:00~16:00
◆内  容:南極で起こる自然現象、昭和基地での生活、化石や隕石など、南
極      についての分かりやすいお話。装備品や氷に触る体験コーナー
も。
◆旅行代金:小人300円(小学生対象・小学生未満は無料) 保護者500円
◆定  員:100名

▲渡邉興亞(Okitsugu  Watanabe)
 1939年、平壌に生まれる。北海道大学理学部地質学鉱物学科卒業、北海道大
学大学院理学研究科修士課程修了。名古屋大学助手、助教授を経て、国立極地
研究所教授。現在、国立極地研究所長。
 南極歴は、第11次・15次南極地域観測隊員、第29次・35次南極地域観測隊長。

*チケット予約
学士会企画係まで氏名・連絡先住所・電話番号・枚数をお知らせ下さい。

→≫ http://www.gakushikai.or.jp/seminar/seminar.html ≪←

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◆文楽の手ほどき ~人形遣い篇~ ◆◆◆

▲第一部 【艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)
      酒屋の段より <お園のさわり>】
▲第二部 人形で三人遣いの体験レクチャー(抽選)
     ※文楽人形と人形遣いを囲んで写真を撮る時間を設けました。
      カメラをご持参ください。

△出演  [主遣い]吉田玉女  [左遣い]吉田玉佳  
     [足遣い]吉田玉翔  [介 錯]吉田玉誉

▲開催日時:12月1日(月) 開演 6:30(6:00開場)
▲場  所:学士会館神田本館1F レセプションホール
▲会  費:学士会会員3,200円 一般3,500円


*チケット予約
学士会企画係まで氏名・連絡先住所・電話番号・枚数をお知らせ下さい。


学士会企画係(平日9時~17時)
TEL   :03-3292-5955
FAX   :03-3292-2779
e-mail:info@gakushikai.or.jp


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     ● 今月の学士会館同窓会情報(七大学関係の同窓会) ●
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学士会館本館
 2日 九大理科S22会
 3日 東大数学科34年同期会
 9日 九州大学連携大学院公開講座
   東京九機会
   北大東京同窓会
   本郷白梅会
17日 東大工学部造兵学科昭和20年卒クラス会
   赤門剣友会
18日 東大十九医会
20日 東京大学運動会漕艇部
22日 東大31S1-4B会
   東大応化16-12会
24日 東北大金属クラス会
28日 京大理科24年会
   九大法学部同窓会理事会
31日 東北大工学部


学士会分館
 4日 さぶろう会 
 8日 陶爺会
11日 いもづる会
   第9回第三内科看護室同窓会
14日 赤門鉄路クラブ
15日 乾先生を囲む会
   東京銀杏会
16日 東大薬理学教室同窓会
17日 東大二工電気クラス会
   昭十九会
22日 松高22回理甲2
23日 東北大学機械22年卒クラス会 
   昭和20年卒機械クラス会
25日 旧制弘高28会
27日 くぬぎ会


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◆ 幹事代行サービス承り中 ◆◆◆

 学士会事務局では、同窓会幹事代行サービスを承っています。学士会館で同
窓会を開催される幹事さんのお手伝いをします。

 ①会場の予約
 ②案内状の印刷・発送
 ③出席者の名簿作成
 ④看板・名札の準備
 ⑤会場のレイアウト
 ⑥受付の準備

 といった業務を幹事の方に代わって準備します。切手・葉書代等の実費はご
負担いただきますが、手数料等はいっさい頂きません。


*お問い合わせ/お申し込み(平日9時~17時)
 学士会事務局 TEL:03-3292-5955
 Eメール info@gakushikai.or.jp
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         ● 過去の月報ピックアップ ●
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┃□┃ニューヨークの大停電
┃□┃久保田きぬ子
┃□┃          學士會会報No.702号(昭和44年1月号)より抜粋
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 1965年11月9日火曜日、アメリカ東海岸一帯の非常に広い地域にわたって起
った大停電の時、偶然私はニューヨークにいた。夕方5時27分頃に始まり、再
び灯がともったのは翌朝の5時25分頃であった。この間近代的な大都市ニュー
ヨークは新大陸に植民が始まった頃そのままのような状態におかれていた。
 その時私は国連総会に出席していて、第三委員会の会議場にいた。3時過ぎ
から始まった午後の会議の議題は、前の週の金曜日から続いていた経済開発に
関連した社会開発についてであった。例によって開発途上国は一致して、近代
化促進のため先進諸国の大幅な経済援助を主張するし、先進国はお金を出し渋
るというおきまりの状態になり、些細な表現の問題で対立を続けていた。しか
し、何とか片付けねばならず、議長のカンチーノ博士は30分間休憩して、5時
半に再開、直ちに表決に付すと宣した。みんなは一休みしたり、投票態度を相
談したりするため議場を出た。私も2、3の人とコーヒーを飲んだり、おしゃべ
りをしたりして5時25分頃席に戻ってきた。椅子に腰を下ろして議場をみまわ
し、フッと前面の時計に目をやったその瞬間、ススー、ススーと天井にある沢
山の電燈が尾を引くようにして消えていった。オヤッと思った時、いったん灯
はつき、次の瞬間、またススー、ススーと全部消えてしまった。停電らしいと
いうささやきがきこえてきた。この頃にはほとんどの代表が議場に帰っていた
ようであるが、冬の日は暮れやすく、人々の顔もさだかには見定められない程
になっていた。

 人々は近くの者と雑談しながら灯のともるのを待った。英国代表ゲッケル未
亡人の随員が暗闇の中をやってきて、日本ではこういう時に「俳句」なるもの
をつくるのではないか、一句ひねれというようなことをいって、私の周囲を笑
わせたりした。しかし、待てども待てども灯はつかない。とうに6時を過ぎて
しまった。議長はついに散会を宣した。
 人々は言葉少なに会議場をあとにした。私と一緒にいたのは外務省の若い事
務官H嬢である。25階にある日本代表部へはとうてい帰れない。しばらく様子
を見ることにして近くの椅子にかけた。次第に人の数はふえてゆき、ラジオで
聞いたという情報が口伝えに伝えられた。大停電でカナダからワシントンまで
の全域に及んでいる。原因不明である。もう30分でつく。いや7時半ごろまで
かかる、いや、9時までかかる等々どれが本当かさっぱり分からない。どうし
たものかとだんだん不安になってきたところへ、阿部大使が数人の随員ととも
に出てこられ、やっとホッとした。
 とに角食事をした方が良いということで、再びラウンジに引き返した。どこ
もかしこも一杯の人で、ろうそくの灯をかこんでしきりにお酒を飲んでいた。
水は出るが、温かいものは何もないとのこと。やっと人数分のサンドウィッチ
を手にいれて、ビールや生ぬるい水で食べた。窓越しに見えるイースト・リバ
ーの対岸をゆく車の赤いテール・ライトも始めは火縄のように続いていたのが、
やがてとぎれてきた。9時半を過ぎ、とうとう私たちも、方向の同じ者が一緒
になって歩いて帰ることにした。一番近い私は来合わせた鈴なりのバスに飛び
乗って11時過ぎホテルに帰り着いた。こうして暗黒の一夜を過ごしたのであっ
た。

 幾度となく訪れ、幾度となく滞在したニューヨークである。好きな街の一つ
である。そこにはカーネギー・ホールがあるし、メトロポリタン歌劇場が、そ
して今は豪華なリンカーン・センターがある。こじんまりとして落ち着いた雰
囲気のフリック・ミュージアムもある。鉄とコンクリートでできたこの街に、
そこはかとない旅愁を感じたこともあった。何十階かの摩天楼の部屋の窓から
美しい夕映えにみとれたこともあったし、ハドソン河の両岸の紅葉に目をみは
ったこともある。
 しかし、10数年前、戦後の荒廃した日本をあとに留学して初めてここを訪れ
た時、豊かな活気のある街に驚きながら、何という冷たい、人間的には淋しい
都市であろうという印象をうけた。人々は、自分の意思とはかかわりなく動い
ていく巨大なベルトに懸命にしがみついて、生きているように思えた。他人の
ことをかまっていたら、そこから振り落とされ、再び立ち戻ることは極度に困
難であるようであった。人は多い。だが、誰も彼もが独りボッチだという気が
した。「孤独の群集」を目の当たりに見る思いであった。この街での味気ない
この思いは、いつでも、そして今も私の心の奥深い所に残っている。

 ところが、大停電の夜のニューヨークはみなれたニューヨークとはどこか異
なるものがあった。バスがゆく42番街は人であふれていた。ヘッド・ライトに
映し出される人の顔は、これまでに見たこともない程和やかで楽しそうであっ
た。道をよぎる老婆を大きなお巡りさんがかかえるようにして、人々はワイワ
イいって道をあけてやっていた。バスも車も人間の足以下のノロノロ運行であ
ったが、いら立つ人はいない。乗りたい人がいると、乗せてやれ、乗せてやれ
と、東京の朝夕の国電以上に混んでいるバスに、譲り合って乗せてやるし、降
りたい人がおれば、降ろしてやる。外国人の私は一種のとまどいすら感じた。
 レキシントン通りの角で降ろして貰って、ホテルまでの道すがらも、人々は
何が嬉しいのかと思うほど、肩を寄せ合って、誰彼となく話し合っていた。数
人の人が固まって月が美しいと、濃紺の空にかかる満月に、初めて見るような
驚きの表情でみとれていた。ホテルでも、日頃無表情で無愛想なベル・ボーイ
が、フロントで渡された大きなろうそくを片手に、急な非常用階段の途中所々
で休んで私をいたわりながら12階の部屋まで送ってくれた。そして、そのろう
そくを部屋に残し、お休みなさいといって暗闇の中へ去っていった。同じその
一言にも、いつもとは違う響きがあった。街頭でもホテルでもこれまで味わっ
たことのないほのぼのとした温かさを感じたのであった。

 翌朝いつもの時間に代表部へ出かけた。街は再び何の変わりもないそれまで
のニューヨークであった。昨夜のことは夢のようであった。人々は小走りに歩
いている。その顔は冷たくトゲトゲして、寄り付きにくいものを持っていた。
代表部も全く何事もなかったように平常通りであった。あたりまえだと自分に
言い聞かせながらも、私は再び戸惑いめいたものを感じていた。そのような私
に、朝の会議のさなか、鶴岡大使から紙片がまわってきた。そこには次のよう
に書かれていた。

11月9日夜
ニューヨーク松井公邸で
千仭
ろうそくの静かにかげる
菊白し

 大使は私をみて笑っていられた。それだけが昨夜を思い出させるものであっ
た。大停電におびえ、そして戸惑いつづけていた私の心も、この一句でいつし
か平静さを取り返し、仕事を始めることができた。
 大都市での大停電に出合って、近代化に対する一抹の疑念のようなものが、
冷たい風のように、心の中を吹き抜けていったことも、またこの時の想い出も
いつしか忘れて暮らしていた。
 ところが昨年の6月の末、2泊3日の新入生歓迎セミナーというのに招かれて、
八王子の郊外にある大学セミナー・ハウスに出かけた。私が出たセクションに
二人の東大生がいた。青白い顔はしているが、実に生き生きとした表情をして
いる。よく勉強もしているようであるし、はきはきした発言を積極的にしてい
る。頼もしい青年であると思って眺めていた。だが毎夜10時過ぎになると見え
なくなるのに気づいた。しかし、大して気にもしないでいた。セミナーも終り、
帰る間際になって、そのうちの一人がひとかかえもありそうなガリ版ずりをも
ってやって来た。教養学部でのストライキのことが心配でならず、毎夜抜け出
して山を下り様子をみにいって、持ち帰ったのだから読んでくれという。4月
の入学以来、どうしても大学生になったという実感がもてず、何となく惰性の
ような無為の生活を続けていたが、ストライキになって初めて大学生としての
生きがいを感じていると目を輝かしているのであった。もっと本も読みます、
勉強もしますという、その言葉、その気迫のようなものに、はしなくも私ども
が考えなければならない大学の問題の核心が示されているように感じ、愕然と
したのであった。

 大学問題が騒然となって以来、妙なことにニューヨークのあの大停電の夜の
ことがしきりに想い出されるのである。今日の大学の問題は、いろいろな角度
から充分に考えることが必要であろう。衆智が集められて、やがて正しく解決
される時の来ることを信じている。その場合、近代文明の観点からも考えてみ
る必要があるのではなかろうか。学生はこれから育ってゆく青年であるだけに、
より強く近代文明の持つ矛盾に対して息苦しさを感じているのではないかと思
う。先人の「自然に帰れ」の言葉がまた新しい響を持って想い出されるのである。
                                                        (立教大学教授)

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       ● 会員からの投稿コーナー ●
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記に出展しています。
よろしくおねがいします
八束 正司夫(ヤツヅカ マシオ)
****************************
マイセルフ:やつづか ましお展
なじみがありながら、みすごしがちな美しさを
描きとめることを楽しみにしています。
今回はここ銀座からの発信です。
ぜひともご高覧ください。

2003年10月1日(水)~10月31日(金)
11:00~19:00(日曜・祝日休み)

ギャラリー Cha-Ya
中央区銀座8-11-12銀座Cha-Ya
? 03-3575-1188
http://www10.ocn.ne.jp/~cha-ya/
新橋駅徒歩7分/銀座駅徒歩5分

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

《皆様からの投稿募集》
※会員の皆様からの投稿を募集しています。ご投稿者全員に学士会記念品セッ
 トを進呈しています。投稿は、匿名希望でも承っております。
※また、会員の方からのご要望により、会員の方のホームページを紹介してい
 くことにしました。ご自身のホームページを紹介したい方は、ホームページ
 アドレスと30字前後の紹介文を学士会企画係までお知らせください。
※展示会等の告知も承っております。
※投稿については、下記メールアドレスにお送りください。

info@gakushikai.or.jp

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              ● 今月の一冊 ●
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◆『まかり通る~電力の鬼・松永安左ェ門』
◆小島直記著・東洋経済新報社・2003年刊

 1973年毎日新聞社から刊行された作品の復刻版。 松永安左ェ門は、明治8
年に九州の壱岐で生まれ、上京後、慶應義塾に入塾し福沢諭吉の教えを受けた。
福沢の紹介で日本銀行に勤務するもサラリーマンが合わず退職。裸一貫から起
業し、石炭販売業、製革業、福博電気軌道の大成功、その間の相場株暴落によ
る隠遁生活といった起伏の激しい生活を送る。しかし、九州水力電気の設立に
より「電力界の松永」といわれるまでに君臨、東邦電力を5大電力の一角に
のしあげた。本書の登場人物には、福沢桃介、小林一三、近衛文麿、西園寺公
望、益田鈍翁、原三渓などがいる。著者の小島直記氏は東京大学経済学部を昭
和18年卒業。学士会会員。


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