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学士会メールマガジン

No006号 2003/6/1 配信分


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★★★学士会メールマガジン  No.006
★★★2003年6月号         http://www.gakushikai.or.jp
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いつもメールマガジンを購読頂きましてありがとうございます。
 
┌─────────────────────────────────┐
◇ INDEX
└─────────────────────────────────┘
[1].今後の夕食会・午餐会の予定
[2].学士会ニュース
[3]. セミナーのご案内
[4]. イベントのご案内
[5].レストラン・ホテル・宴会部からのご案内
[6].学士会館同窓会情報[七大学関係の同窓会]
[7].過去の会報ピックアップ[學士會会報NO.710(昭和46年1月号)より]
[8].会員からの随筆・論文投稿コーナー
[9].今月の一冊

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         ● 今後の夕食会・午餐会の予定 ●
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◆ 夕食会 6月10日(火)姜  尚中氏
            (東京大学社会情報研究所教授)
      7月10日(木)石毛 直道氏
            (国立民族学博物館名誉教授・前館長)

◆ 午餐会 6月20日(金)片倉 邦雄氏
            (大東文化大学国際関係学部教授
             元駐エジプト・イラク大使)
      7月22日(火)柳井 俊二氏
            (国連大学学長上級顧問・前駐米大使)

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            ● 学士会ニュース ●
         ≪会員氏名録の発行は11月の予定です≫
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 平成15・16年用の会員氏名録を11月1日に発行します。早速、氏名録原稿
のご確認及び返信と、多数の方からのお申し込みをいただきましてありがとう
ございます。毎回、発行直後に品切れとなりますので、ご希望の方はお早めに
お申込みください。
TEL 03-3292-5933(学士会 会員課)

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            ● セミナーのお知らせ ●
             ≪学士会土曜セミナーのご案内≫
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◆ビジネスパースンのための学士会土曜セミナーのご案内 ◆◆◆

【エグゼクティブのためのメンタルヘルス】<和田秀樹会員を講師に迎え>

〇講 師  和田秀樹会員(精神科医・昭和60年東大医学部卒)
〇日 時  平成15年7月19日(土)PM1:30~PM4:00
〇場 所  学士会館神田本館 1F・レセプションホール
〇参加費  5,000円
〇内 容 ◎ポジションが高くなるほど,ストレスフル
     ◎アメリカではエグゼクティブほど,カウンセラーが付く
     ◎自動思考の悪循環を断つメンタルヘルス
     ◎トップのためのメンタルヘルス術
     ◎前頭前野の鍛え方

★講義終了後、希望される方は和田先生との名刺交換会を予定しています。そ
して、後日、先生にご連絡していただければ、引き続き、コミュニケーション
を取れるようにお願いしてあります。

〇お申込み資格・方法・定員
 参加資格は学士会会員に限ります。電話、FAX、もしくは学士会HPから
下記連絡先までご氏名・ご住所・電話番号・会員番号をお知らせ下さい。
受講券と受講費振込先等をお送りいたします。定員は50名を予定しています。

〇お問い合わせ
学士会事務局 総務部 企画係(担当/大村、西川)
TEL   :03‐3292‐5955(平日9時~17時)
FAX  :03‐3292‐2779
URL  :http://www.gakushikai.or.jp/seminar/index.html
e-mail:info@gakushikai.or.jp

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            ● イベントのお知らせ ●
              ≪サロン・コンサートのご案内≫
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◆レセプションホール・サロンコンサートのご案内 ◆◆◆

 5月に開催しました雅楽のコンサートには多数の方にご来臨いただき、あり
がとうございました。今後の予定は下記の通りです。

<やの 雪/テルミンコンサート>
♪ 開催日時:2003年6月29日(日) 午後5時開演(4時30分開場)
♪ 場  所:学士会館神田本館1F レセプションホール
♪ チケット:4000円(当日:4200円)
     ※ ワインorビールorソフトドリンク付
♪ 出  演:やの 雪(ボーカル・RCAテルミン他)
       赤城忠治(ボーカル・ギター他)
       西川義昌(バイオリン)、他

*チケット予約(氏名・連絡先住所・電話番号・枚数をお知らせのうえお申し
 込み下さい)

学士会事務局(平日9時~17時)
TEL   :03-3292-5955(西川・黒渕) 
FAX   :03-3292-2779
e-mail:nishikawa@gakushikai.or.jp
URL   :http://www.gakushikai.or.jp/seminar/index.html

やの雪ホームページ
http://www.yano-yuki.com
ビクターエンターテイメント
http://www.jvcmusic.co.jp/theremin/index.html

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◆学士会館で落語会 その壱 ◆◆◆

<柳家小はん独演会>
▲演目【船徳】
   【青菜】
▲開催日時:7月24日(木) 午後6:30 笑い始め(6:00開場)
▲場  所:学士会館神田本館1F レセプションホール
▲木戸銭 :2000円(小中学生700円)
*チケット予約(氏名・連絡先住所・電話番号・枚数をお知らせのうえお申し
込み下さい)

学士会事務局(平日9時~17時)
TEL   :03-3292-5955(西川・黒渕) 
FAX   :03-3292-2779
e-mail:nishikawa@gakushikai.or.jp

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      ● レストラン・ホテル・宴会部からのご案内 ●
         《会館改装に伴い、サービスも充実!!》
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◆ 学士会館で「野球殿堂入り表彰式」が行われます ◆◆◆
日本の「野球発祥の地」とされる学士会館で野球体育博物館主催のホーレス・
ウィルソン氏の「野球殿堂入り表彰式」が下記の日程で学士会館にて開催され
ます。

【開催日時】平成15年6月24日(火)14時より
【会  場】学士会館神田本館 320号特別会議室
【メインイベント】学士会館の地で日本に野球を伝えたホーレス・ウィルソン
         氏の野球殿堂入りの表彰

当日は佐々木毅東京大学総長、川島廣守プロ野球コミッショナー、川上哲治氏
もご列席されます。また東京大学野球部の皆様がユニフォームを着用し、アメ
リカ在住のウィルソン氏親族の代理としてレリーフを受領します。プロ・アマ
野球界の著名人が一同に会する一大イベントを当会館で開催できることを、学
士会スタッフとして嬉しく思います。

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     ● 今月の学士会館同窓会情報(七大学関係の同窓会) ●
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学士会館本館
 3日・・九州大学経済学部同窓会東京支部理事会
 4日・・京大一水会
  ・・東北大学全学同窓会
 5日・・東大法学部先輩教授との懇談会
  ・・京大燃料化学34会
 6日・・九大自動車部OB会
  ・・東大機械工学科32年卒同期会
 7日・・東大航空会
  ・・東北大農学部第一回生同窓会
  ・・東北大金窓会
  ・・赤門乗馬会
  ・・東京大学航空学科平成5年卒クラス会
 8日・・東大理学部化学昭37年卒同窓会
 9日・・東大農工会
10日・・赤門テニス39会
11日・・京大冶金会(21年卒)
12日・・九州大学連携大学院公開講座
13日・・昭和41年卒木葉会
  ・・37年東冶会
14日・・大阪大学法学部同窓会
15日・・北大歯学部同窓会関東支部
16日・・東大16年会(経済)
18日・・東大電気18年会
20日・・駒場研究会
  ・・九大農学部同窓会東京支部
21日・・九大経済学部同窓会経済懇話会
24日・・東京六大学野球連盟
26日・・東大一工船舶昭和26年卒クラス会

学士会分館
 1日・・東大少林寺拳法
 2日・・東大保健学同窓会
 4日・・東京銀杏会
  ・・鴻ゼミ同窓会
 6日・・浦高一八会
  ・・東京大学同窓会連合会
 7日・・さつき会
  ・・精密機械同窓会
11日・・四八会
12日・・東京銀杏会
13日・・船舶十三年会
14日・・燦燦会
  ・・坂野ゼミ同窓会
17日・・東土会
19日・・東大土木同窓会評議員会
20日・・鉄門倶楽部
25日・・原田先生の喜寿を祝う会     


◆ 幹事代行サービス承り中 ◆◆◆

 学士会事務局では、同窓会幹事代行サービスを承っています。学士会館で同
窓会を開催される幹事さんのお手伝いをします。

 ①会場の予約
 ②案内状の印刷・発送
 ③出席者の名簿作成
 ④看板・名札の準備
 ⑤会場のレイアウト
 ⑥受付の準備

 といった業務を幹事の方に代わって準備します。切手・葉書代等の実費はご
負担いただきますが、手数料等はいっさい頂きません。


*お問い合わせ/お申し込み(平日9時~17時)
 学士会事務局 TEL:03-3292-5955
 Eメール info@gakushikai.or.jp
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         ● 過去の会報ピックアップ ●
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┃□┃日本野球発祥の地     ─それは今の学士会館本館敷地─ 
┃□┃君島一郎
┃□┃          學士會会報No.710号(昭和46年1月号)より抜粋
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 明治29年(1896)年5月23日、第一高等学校野球チームが横浜のアマチュア・
クラブの米人チームと試合をして29対4のスコアで勝った。
 安政5年(1858年)締結の所謂不平等条約が当時なお存在していて、この試
合の行われた横浜公園は外国人居留地の中にあり、一面芝生のグラウンドで
「日本人入るべからず」の制札が立っていた。
 前年、日清戦争に勝って、わが国民の意気揚がって来たとはいうものの、西
洋人には遠く及ばぬものと、口惜しがりながらもあきらめていたのであった。
ところが、事は単なる遊戯であっても、アメリカ人が国技とほこるベースボー
ルで大勝したのである。
 この勝負は日本人にも意外だったが、米人方にはもっと意外だった。彼らと
しては自国独特の競技が後進国日本にこれ程までに修得されたことは喜びであ
ったにしても、負けたのは本心口惜しかった。米人方でも折柄横浜に寄港中の
アメリカ・アジア艦隊中から精鋭を補強し復讐試合を申込んできた。6月5日の
第2回試合となる。場所は前同様横浜。32対9の大差で一高方再勝した。
 2回の勝負でアメリカ方も、もはや怪我負けなどとはいってられない。今度
は軍艦デトロイト号の挑戦で、軍艦方から一高校庭に伺いましょうということ
になって6月27日。場所は向ヶ丘の一高校庭。これが東京で対外人試合の行わ
れた嚆矢である。22対6で一高方3度凱歌を挙げた。
 このまま引っ込めないのがアメリカ方である。彼らの独立祭即ち7月4日に
是非、も一度やりたいとのたっての申入れで、一高方は、既に卒業試験が終り
選手校友四散していたが引受けた。独立祭のお祝行事の中に取り入れられたも
のであった。この試合には米人方は元プロの選手で、今は軍艦オリンピアの海
兵のチャーチをはじめ、野球のうまい将校方をも動員してきた。今度は14対12
で一高方初めて敗れた。
 この連続4回の国際試合、当時の一高野球部史に「噫、邦人が異色人と悠々
談笑の間に輸贏を決せんとするは建国以来の珍事ならずや」と書かれたように、
正に破天荒の出来事だった。わが国の諸新聞(まだスポーツ欄などなかった)
が争ってその記事を載せたのは勿論、横浜の『メール』、『ガゼット』はじめ
神戸、長崎の外字新聞までこれを報じ、しかも甚だ好評であった。米本国の新
聞またこれを遠い東洋未開国の特別ニュースとして報じた。正に内外の耳目を
聳動した大事件であった。

 これら4連戦のあと間もなく、正岡子規は長文の記事を当時あった新聞『日
本』にのせた。前後3回に亘りベースボールの紹介乃至勧誘といったもので、
第1回は7月19日の同紙に載った。
 子規のベースボールは予備門時代に始まったものだが、このスポーツに寄せ
た情熱は一通りのものではなく、単なる愛好者の域を脱し、腕前においても相
当自信があったようである。その頃、彼は既に医薬にしたしみ時に杖にすがっ
て小庭をあるくほど気の毒な状態であったが、この日本チームの勝利(第4回
目は負けたが)、殊に母校の後輩の功績を聞いて、病床でジッとしていられな
い気持ち、血湧き肉踊るともいうか10年前の情感が蘇ったともいうのであった
ろう。彼は筆をとった。それによると、
 「ベースボールは素と亜米利加合衆国の国技とも称すべき者にして其遊戯の
国民一般に賞翫せらるるは恰も我国の相撲、西班牙の闘牛杯にも類せりと聞き
ぬ。此技の我邦に伝わりし来歴は詳かに之を知らねども、或は云う元新橋鉄道
局技師米国より帰りてこれを新橋鉄道局の職員間に伝えたるを始とするとかや
(明治14、5年のころにもやあらん)云々」

 ところが、この記事の載った3日後の22日の同紙に「ベースボールの来歴」
と題した長文の反証文が寄せられた。その筆者は「好球生投」と匿名を使って
いる。
 好球生投は先ず子規の14、5年説を真向から否定して、
 「そもそもベースボールのはじまりは明治5年のころなりし。今の高等商業
学校のところに南校という学校あり。明治5年頃は第一大学区第一番中学と名
付けて唯一の洋学校なりしが、英語、歴史などを教えるウィルソンといえる米
国人あり。この人常に球技を好み体操場に出てはバットを持ちて球を打ち余輩
にこれを取らせて無常の楽しみとせしが、ようやくこの仲間に入る学生も増加
し、明治6年第一番中学の開成校と改称し、今の錦町3丁目に広壮の校舎建築な
り、開校式には行幸などもあり、運動場も天覧ありしくらいにひろびろと出来
たりし事故、以前に変りて体操の方法も拡張して来り、兵式体操、器械体操な
どもはじまりたり。かのウィルソンは米国南北戦争に出でたる人とて、兵式器
械体操などもなかなかによくやりたり。各学生もこれについて大分学びたり。
このころよりいつとなく余輩の球技も上達し、打球は中空をかすめて運動場の
辺隅より構外へ出る程の勢いを示せしが、ついには本式にベースを置き、組を
分ちてベースボールの技を始むるにいたれり。
 されどはじめの事とてその業の見るべき程の事なかりしが明治7、8年に至り
ては非常に発達し、ついにある人の紹介によりて横浜の米国人と試合をなした
る事も度々なりし。8年9年のころは校内毎土曜日には球技盛んに流行し見物人
も山をなして外人と戦う時などは非常の人気なりし」
 好球生はこう書いてから、当時親しくボールを握った人々の名を挙げている。
中に元京都大学総長をつとめた久原躬弦理博、京大教授で京都高等工芸学校長
だった中沢岩太工博、内務省技師だった青木元五郎工博、元宇治火薬製造所長
石藤豊太工博等々。中でも異色なのは来原彦太郎(のちの木戸孝正候)大久保
利和(のち侯爵)、弟大久保伸熊(のちの牧野伸顕伯)等である。(この3人
は明治4年岩倉具視使節団につれられて渡来し、3年間フィラデルフィアのミド
ル・スクールでベースボールの手ほどきを受けて帰り、明治8年に開成学校に
はいって来た。彼らはベースボールのボールを持ち帰っていた)

 この投書に対し子規は早速同紙上において、
 「我曰く、わが輩のおぼろげなる伝聞をもってベースボールの来歴を掲げし
に好球生氏寄あり以ってその誤りを正す。わが輩の詳にその来歴を知るを得た
るは実に好球生の賜なり。よってその全文を掲げて正誤に代うと伝爾」
と彼は率直に自説の誤りを認めている。
 ベースボールの渡来した年と、それがはじめてプレーされた年と場所につい
ての有力な資料である。これは好球生が親しくプレーした一人であり、しかも
この投書は、彼のプレーしたという明治5、6年からまだ24、5年しかたってい
ないときに書かれたものである。
 (中略)

 ここでいよいよ本論に入る。私たちは、ベースボールが日本で初めてプレー
された場所は、今の東京でどの辺だったろうかと。探し当てた古地図は学士会
会報の709号雨宮育作さんの「神田錦町と学士会館」63ページ下段の図を見て、
そこに開成学校体操場がひろびろと存在していることがわかった。これだ、こ
れだ!これこそ正しく野球発祥地である。今の学士会館の敷地は当年の体操場
よりは大変狭いが、それでも此処をその場所なりとして差し支えない。
 好球生の友人達もあれだけ分かっているが、第一番中学についても少し知り
たい。そこで、学士会館に出かけ、古い本を出して貰った。その中で東京帝国
大学50年史を広げてみると、挿入写真版の一枚に明治3年の貢進生と明治5年
の第一番中学生とが上下に分かれて出ている。100年前の中学生のハイカラぶ
りが面白い。いずれも後年それぞれの分野で名を成した人々である。穂積陳重
は我国法学界の元老で、この時16歳。一つ年上で、後に日本主義の大立者とな
った杉浦重剛も精悍な気を眉宇にたたえている。
 ふと念頭に浮かぶ。ウィルソンが自分の打つボールを捕らせたというのは、
この中の一人杉浦ではなかったかと。日本主義の杉浦、同じく日本主義の子規
がともに外国スポーツに早くも飛びついたことに興味は沸く。当時の「和漢洋
才」がここにもうかがわれるのである。
 好球生とは杉浦の匿名だろうか、そんな想念がフッと私の脳裡をかすめた。
杉浦について書かれたものは沢山ある。が、それらを調べても彼とベースボー
ルの関係についての記事は一行だって出てこないだろう。それでもなおかつ私
にこの想念が断ち切れないのは一体どうしたことであろう。

 とはいえ、私自身これ以上何か調べてみようという根気は最早全くない。
 何分すでに83歳をすぎ、両眼とも白内障を手術して水晶体がない。その上、
近頃メッキリ視力が減退して新聞を読むのにも不自由する。さきの老人検診と
やらでは眼底網膜に動脈硬化現象が出来ているとのことであった。眼科専門医
に診せて、治せないまでもこの程度で喰い止める方法はないものかときくと、
それは内科の領分だと簡単に片付けられる。内科へ行くといろいろとデータを
集め工場製品ででもあるかのようにカルテを作り上げてから「何分お年ですか
らなア」とアッサリあしらわれてしまう。気力も体力も我ながらあきれるほど
に衰退した。こんなわけで私としては最早、自らすすんでこの問題に取り組む
気力はない。どなたかこんな閑事に関心のある物好きな(といってよかろう)
お若い方が現れてこないものか。また思う。拙文がキッカケとなって、前掲
「好球生」の他その球友達についても、それは僕の父、叔父、或は祖父だった
という方が現われて、こういう遺文があるとか遺耳があるという話が出てくる
ようであったら本当に嬉しいことだと、はかない望みをかけている次第でもあ
る。
 (中略)

 どういう形体になるかは別として日本野球発祥の地を記念して矢張り何らか
形のあるものを残して置きたいものだなと思う。
 最後に付け加えて置きたいことが一つある。本稿冒頭に述べた対米人4連試
合はこれが米本国に報道されて、その年の10月エール大学から招待状(挑戦状
というと聊か物騒になる)が来た。経費の方は先方である程度見るというし、
こっちでもどうやら都合もついたが、学年を半分近くも休むというのは当時の
官学としても、また父兄たちとしても容認出来ない。それで到々取止めとなっ
たが、これは選手たちにとっては遺憾の極。また日本の野球にとっても大恨事
であったといってよかろう。
 上記の4連試合は第3回だけが向ヶ丘のグラウンド、他は横浜であった。しか
し日本の野球の名を太平洋の彼方まで揚げたのは、プレーされた場所に関係は
ない。その力が、雨に嵐に鍛えられ充実された向ヶ丘こそがその本拠地である。
神田学士会館敷地を発祥の地というならば、この向ヶ丘の旧一高グラウンド、
今の東大農学部のキャンパスこそは、日本野球光揚の地といってよかろう。光
揚とは変な字を作り出したなど、ご不審もあろうが、これはシナで「漢書」を
著した後漢の班固の文の中に見たものである。こんな余計なことをいうのが年
寄りのいやがられる癖の一つとご寛容を乞う。
(元朝鮮銀行副総裁、財団法人友邦協会会長)

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       ● 会員からの随筆・論文投稿コーナー ●
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『国際金本位制復帰の勧め』

 五月一日發メールマガジンに、筆者は「デフレ下、通貨価値変動会計発動の
勧め」を投稿した。それとセットで、今回更に掲題の勧めを投稿する。それは
この二つのシステムの相性よい共存が、真の経済効果をもたらす筈だからだ。
 前世紀初頭には完璧に機能していた、英国を基軸とする国際金本位制が、そ
の瓦解後全く顧みられないのは、それへの固執が、不況と失業に直結するか、
少なくとも経済成長の足枷になると考える世界的コンセンサスが成立し、現実
に資本主義世界は、管理通貨制度のもと、放漫財政金融政策に依る軽度インフ
レの連続で、目覚ましい市場経済の発展を経験したからだ。そしてその先端辺
りにわが日本がいたのだ。
 だが管理通貨と変動為替相場の体制では、他方流動性ジレンマからスタグフ
レーション、ニクソンショック、米国双子の赤字、為替狂乱、日本バブルとそ
の大崩壊、財政大赤字とデフレスパイラル等の難問が相次ぎ、今や世界不況へ
の不安が醸成されるに至った。殊に日本は、為替相場の不安定故に、実体経済
に破壊的被害を蒙った最大の先進国だ。
 ずばり通貨価値変動会計実施で、日本経済再生が見通せた暁には、経常収支
黒字の定着している債権大国日本こそ、世界に魁け、金本位制度への復帰を提
唱するがよい。現況本邦裁定金価格は、1グラム1,300円近辺だ。そこで通貨
当局(財務省、日銀を一応一括)は、例えばグラム1,600円で金売買に応ずる。
結果として本邦通貨当局に世界から金が集中し、当面本邦のデフレはインフレ
傾向に転じよう。円為替相場は下落し、金の世界市場価格は高騰しよう。本邦
や世界経済へのインパクトはより複雑でもあろうが、ともかく通貨価値変動会
計が日本で奏功し、さらに日本での金本位復活の結果、世界金価格が高騰すれ
ば、金の公的準備高や産金力の大きい先進諸国や、外貨準備を急速に伸ばして
いるアジア新興諸国に、金本位採択への強い誘因となろう。わが国はそれを、
IMFを含めた世界へ強力に唱道する。
 金本位採択故にデフレで危局が発生するなら、前世紀にやったような、放漫
政策に依拠するインフレ誘導、平価切り下げ競争、近隣窮乏化や金本位離脱に
走らない。ここは日本で実証済となった代替策、通貨価値変動会計発動で対処
し、米ドル、ユーロ、円三局他、主要通貨の協力で各々平価を堅持して貰う。
説得には優れた外交能力が必須でもあろうが、古来通貨の最適素材たる "金"
 に基づいた通貨組織での各国平価堅持こそ、国際為替相場安定下、世界経済
を健全に維持する本筋なのだ。
 前世紀、本来あるべき姿の消えた世界の通貨を、新世紀には、日本先導で是
非回復しよう。
昭和22年法文学部卒  大村哲彦

[会員の方のホームページ紹介]
〇時折初夏の陽気さえただよう頃となりましたが、まだ寒かった1・2月に不
動前スタジオ・小部屋ギャラリーで行われた「マイセルフ:やつづか ましお
展」の記録を ようやく掲載しました。会場で御覧になった方もそうでない方
も改めてサイト上で御覧下さい。
http://www.h4.dion.ne.jp/~jiyu-art/index.html
 で自由アートのサイトを開き、
 <2003/05/14 小部屋ギャラリー「マイセルフ:やつづかましお 展」
 の記録を掲載>をクリックして下さい。
よろしくおねがいします
八束 正司夫(工博・昭50年)

[会員の方の展示会のお知らせ]
☆マイセルフ:やつづか ましお展

日程:2003年6月2日(月)~6月28日(土)
時間:11:00~19:00(日曜祭日休み)
会場:カフェ・ギャラリー優空間
住所:品川区東大井5-23-16-114 コスモ大井町グレイスシティー1F
   JR京浜東北線大井町下車徒歩5分 TEL 03-3474-0347
   http://www.yukukan.homeip.net/cafe/
   email: mashio-y@gakushikai.jp
八束 正司夫(工博・昭50年)


《皆様からの投稿募集》
※会員の皆様からの投稿を募集しています。ご投稿者全員に学士会記念品セッ
 トを進呈しています。投稿は、匿名希望でも承っております。
※また、会員の方からのご要望により、会員の方のホームページを紹介してい
 くことにしました。ご自身のホームページを紹介したい方は、ホームページ
 アドレスと30字前後の紹介文を学士会企画係までお知らせください。
※展示会等の告知も承っております。
※投稿については、下記メールアドレスにお送りください。

info@gakushikai.or.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
              ● 今月の一冊 ●
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆『明治5年のプレーボール 初めて日本に野球を伝えた男─ウィルソン』
◆佐山和夫・日本放送出版協会・2002年刊

 日本に野球を伝えたといわれるホーレス・ウィルソン氏(1843~1927年)の
生涯を追ったルポルタージュ。と同時に、ウィルソン氏が初めて日本に野球を
伝えた史実の裏付けを綿密に行っており、結論はまさに今月の会報ピックアッ
プの君島氏と合致。ウィルソン氏の功績が、脈々と日本で息継がれ、今日のイ
チロー、松井らの大リーグでの勇姿にもつながっていると思うと、氏の殿堂入
りはけだし当然のことであろう。15年近くをかけ、殿堂入りをも後押しした著
者渾身の一冊。


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   ◆電話番号:03-3292-5931
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総編集長:社団法人 学士会 事務局長   鎌田敬士
編集長 :社団法人 学士会 総務課 課長 岡崎芳夫
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