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★★★学士会メールマガジン No.005
★★★2003年5月号 http://www.gakushikai.or.jp
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いつもメールマガジンを購読頂きましてありがとうございます。
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◇ INDEX
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1]. 今後の夕食会・午餐会の予定
[2]. 学士会ニュース
[3]. イベントのご案内
[4].レストラン・ホテル・宴会部からのご案内
[5].学士会館同窓会情報[七大学関係の同窓会]
[6].過去の会報ピックアップ[學士會会報NO.717(昭和47年10月号)より]
[7].会員からの随筆・論文投稿コーナー
[8].今月の一冊
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● 今後の夕食会・午餐会の予定 ●
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夕食会 5月 9日(金)中村 桂子氏 (JT生命誌研究館館長)
6月10日(火)姜 尚中氏(東京大学社会情報研究所教授)
◆ 午餐会 5月20日(火)半藤 一利氏 (作家)
6月20日(金) 片倉 邦雄氏(元駐イラク大使・大東文化大学国
際関係学部教授)
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● 学士会ニュース ●
≪学士会5月会報に会員氏名録原稿を同封しました!≫
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5月1日に発行しました会報840号に本年11月1日発行予定の平成15年・
16年用会員氏名録掲載のための原稿を同封しました。原稿訂正はホームページ
からも受け付けています。「異動変更」ページから送信ください。会員氏名録
には本年度からCD-ROM版が添付されます。ご購入のお申し込みを宜しく
お願いいたします。
TEL 03-3292-5933(学士会 会員課)
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● イベントのお知らせ ●
≪研修ツアーやサロン・コンサートのご案内≫
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◆学士会企画による研修ツアー ◆◆◆
【中世都市 鎌倉を訪ねる】<松尾剛次会員を講師に迎え>
講師は平成14年4月午餐会で講師をお願いいたしました松尾剛次会員(山
形大学教授)です。1954年、長崎県生まれ。東京大学文学部、同大学院博士
課程を経て、現在、山形大学教授。文学博士。専門は日本中世史、宗教社会学。
著書に、「勧進と破戒の中世史」「鎌倉新仏教の誕生」「中世都市鎌倉を歩く」
「仏教入門」「お坊さんの日本史」ほか多数。 ◆スケジュール
◆日 程:7月4日(金)
◆集合時間:◎学士会館前集合7:50
◎東京駅丸の内新丸ビル前集合8:00
◎鎌倉駅東口入口集合10:00
◆内 容:10:20→鎌倉市内
(宇都宮辻子・若宮大路御所跡見学・寿福寺・浄光明寺・極楽寺)
16:00=====16:10頃→鎌倉駅にて下車(高速道)
18:30頃→東京駅(経由)
◆旅行代金:東京発着(学士会館または東京駅)13,500円
鎌倉発着 12,500円
◆募集人員:45名(最少催行人員:30名)
※ お申し込み受付は、先着順とさせていただきますので定員に達した場合
には止むを得ずお断りする場合もございます。ご了承ください。
◆お申込み締切日:5月31日(土)消印有効
◆添乗員が全行程同行いたします。
ご旅行に関する、お申込み・お問い合せは
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JTB「学士会研修ツアー」係
TEL:03-3263-9024・9037
FAX:03-3234-1446
受付時間(月)~(金)9:30~17:30(土・日・祝・祭日休業)
〒101-0003千代田区一ツ橋2-3-1
JTB東京神保町支店
一般旅行業務取扱主任者 江田裕紀 / ツアー担当 相馬浩
企画/制作:社団法人学士会総務課企画係 旅行主催:ジェイティービー
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◆レセプションホール・サロンコンサートのご案内 ◆◆◆
前号でご案内しました5月11日の雅楽のコンサートはお蔭さまで好評につ
き、チケットが予約分ですべて完売となりました。当日券はございません。
そこで、急遽、追加公演を行います。
詳細情報はこちら↓
♪ 開催日時:2003年5月30日(金) 午後6時30分開演(6時開場)
♪ 場 所:学士会館神田本館1F レセプションホール
♪ チケット:3000円(小・中学生2000円)
※ ドリンク付
♪ 出 演:石川 高(笙)、本橋 文(篳篥)、笹本武志(龍笛・排簫)、
中村かほる(琵琶)
♪ 曲 目:双調音取・颯踏・聖なる月・排簫独奏曲「いざよい」・立夏
etc
* チケット予約(氏名・連絡先住所・電話番号・枚数をお知らせのうえお申
し込み下さい)
TEL :03-3292-5936
FAX :03-3292-2779(学士会事務局)
e-mail:nishikawa@gakushikai.or.jp
URL :http://www.gakushikai.or.jp
*お問い合わせ(平日9時~17時)
学士会事務局 TEL:03-3292-5936(西川・黒渕)
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● レストラン・ホテル・宴会部からのご案内 ●
《会館改装に伴い、サービスも充実!!》
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◆学士会館 メディア掲載情報 ◆◆◆
テレビ、雑誌と媒体を問わず、撮影協力依頼が定期的に入ってくるようにな
り、4月にも撮影が行われました.
1本は4月26日からスタートしたNHK・BSハイビジョンの新番組で、
ミステリーを切り口に番組を進行していくアート番組です。学士会館の201号
室と301号室が、19世紀後半から20世紀初頭のフランスのアトリエやカフェ
として再現されています。普段見慣れた部屋がどのように近代へタイムトリッ
プしているか、学士会スタッフも放映を楽しみにしています。
【放映スケジュール】===============
NHK BSハイビジョン『アートエンターテインメント 迷宮美術館』
5月24日(土)19:30~21:00 「ピカソとマティス」特集
6月 7日(土)19:30~21:00 「マネ」特集
もう1本は、TBS・日曜劇場
『笑顔の法則』というドラマです。4月から始
まった新作ドラマの中で、主人公の竹内結子と阿部寛が出版社の編集者と会うシ
ーンで、伝統ある出版社のロビーとして使われます。ドラマは6月まで毎週日曜
21:00~21:54放送ですが、学士会館撮影シーンは5月4日(日)の放映予定で
す。◆学士会分館 ビアガーデンオープン ◆◆◆
風薫る爽やかな季節となりました。東大赤門横の学士会分館恒例のビアガー
デンが5月8日(木)から今年もオープンします。
【営業日時】=======================
16:00~21:00(ラストオーダー 20:00) 日曜・祝日休業
お問い合わせ 学士会分館 03-3814-5541(予約も承っています)
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◆ レセプションホールご案内 ◆◆◆
【面積】 11.20×11.00(123?)37.3坪
※受け付けスペース 4.40×2.30(10.1?)
【設備】 マイク・スクリーン・OHP・パソコンプロジェクター等
【ご使用料】
〔パーティー使用〕
*当会館で挙式した後の二次会の使用は無料
*その他のパーティーでの使用料 12時~16時 30,000円
17時~21時30,000円
〔展示会使用〕
*10時~20時(1日) 《会員》 20,000円 《非会員》 40,000円
* 1単位3日間 60,000円 120,000円
* 6日間 100,000円 200,000円
※上記料金には別途消費税がかかります
※詳細については直接、会館フロントへお問い合わせください
(会館課:03-3292-5936)
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● 今月の学士会館同窓会情報(七大学関係の同窓会) ●
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[学士会館本館]
1日・・東大土木二八会五十周年記念
9日・・京大東友会
・・赤門合気道倶楽部
10日・・東大医学部病理学教室同窓会
・・東北大学山の会総会
12日・・東北大学25年卒紫水会
・・東大農工会
・・東大林学科クラス会
14日・・京大二水会
16日・・東大土木16年会
・・赤門総会
17日・・東北大学法学部37J
18日・・東北大学薬学部関東支部幹事会
・・東大電気18年会
20日・・東京キタン会
・・東大三鷹クラブ
22日・・赤門スケートクラブ
23日・・東大地質会
・・大阪大学待兼会
24日・・名大応化会総会
25日・・東大25機会
26日・・京大滝川事件70周年記念会
30日・・東北大学通信工学科昭和30年卒クラス会
31日・・赤門茶道会
[学士会分館]
1日・・昭32年物工同期会
2日・・柔道専門分科会
・・東大耳鼻咽喉科非常勤講師の会
9日・・独立記念祭
10日・・一高短歌会
・・八高会
13日・・船舶十三年会
14日・・25年卒応数会
・・昭22薬学クラス会
・・28年3月卒文学教育学科クラス会
16日・・21年精密同窓会
・・内科研修医歓迎会
17日・・東大医学部昭和41年卒同窓会
・・東大弓術部
22日・・東大山の会
28日・・亀の子会(浦高東大薬学科)
29日・・浦高無心会
30日・・鉄門倶楽部総会
31日・・東大拳法会
・・写真文化会OB会
◆ 幹事代行サービス承り中 ◆◆◆
学士会事務局では、同窓会幹事代行サービスを承っています。学士会館で同
窓会を開催される幹事さんのお手伝いをします。
①会場の予約
②案内状の印刷・発送
③出席者の名簿作成
④看板・名札の準備
⑤会場のレイアウト
⑥受付の準備
といった業務を幹事の方に代わって準備します。切手・葉書代等の実費はご
負担いただきますが、手数料等はいっさい頂きません。
4月のサービス開始以降、これまでに名古屋大学全学同窓会東京支部総会、
東京洛友会(京大・農学部)、東北大鉱山工学科33年クラス会、阪大経34年会、
八高34文理クラス会、浦高理乙クラス会など大規模なものから少人数のもの
まで承っております。
*お問い合わせ/お申し込み(平日9時~17時)
学士会事務局 TEL:03-3292-5955
Eメール info@gakushikai.or.jp
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● 過去の会報ピックアップ ●
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┃□┃硬 骨 の 人 ─亡き父金田一京助の思い出─
┃□┃金田一春彦
┃□┃ 學士會会報No.717号(昭和47年10月号)より抜粋
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一.
私が大学を卒業した年、亡くなった父、金田一京助は、学士会会員氏名録に私
の名が載っていないのを見て驚愕した。早速、速達便で、「会員氏名録に重大な
ミスがある。私のセガレの名を落とすとは……」とねじ込んだ。ところが、それ
は名簿の方が正しかったので、私は会費を出すのを惜しんで、会員になる手続き
をとっていなかったのである。
今度は私が叱られ、父は自身で一ツ橋まで出向いて私の分の会費を払ってくれ
たところからも、その熱意のほどが知られるが、そのくらいであるから、私の名
が翌年載った時の喜びようはなかった。ちょうど私より一年あとに卒業した金田
一昌三君という一時札幌の図書館長をやった人の名も載ったので、金田一姓のも
のが一挙に五名となり賑やかになった。
父は真新しい学士会会員氏名録のあちこちを繰っては、やあ、田子君のところ
は、田子君ひとりか、郷古も一人しかいないぞ、などと、自分の友人のところな
どまで見て、悦に入っていた。
父は若いころから、よくカネダと読みちがえられ、そのたびにキンダイチです
と弁解すると、今度は変な苗字だなと批評されてきた。あの感激は、そういう苦
い経験があってはじめて味わえるもので、鈴木さんとか、田中さんとか、平凡な
苗字の持ち主の方には、想像も及ばないことであろう。
二.
太平洋戦争の末期、日本の上空にアメリカの飛行機がどんどん飛来して、焼夷
弾や爆弾を落とすようになっても、父は日本の不敗を信じていた。今に日本軍は
勢を盛り返して敵に打撃を与える。それまでの辛抱だと言うのである。それだけ
なら、信仰の自由で別に差支えないのであるが、もし私たちが、日本はこの分
では負けるかも…… と言うと激怒するのである。これには手をつけかねた。
「もし負けたら…… 」と言っただけでも、負けると思っているのか、と怒り出
す。近所の人は、次々に縁辺を頼って地方へ疎開していくが、自分は杉並の家を
動こうともしない。母と妹だけでも疎開させようと思ったが、相談しているのが
うっかり父の耳にはいるとめんどうなので、蔭のへやでこそこそ相談するという
わけで、随分もてあました。
防空壕だけは掘ったが、これも隣組からうるさく指令が来るためにやむなく
作ったので、私たちが父の自慢していた植木をぬいて穴を掘っているのを、不
本意そうな顔をして眺めていた。私は、父が教え子の中でも一目おいていた服
部四郎博士が奥多摩に疎開しておられたのにお願いして、母と妹と、それから
父の蔵書の一部を引き取っていただいた。
三.
私は当時中野にあった、在日中国留学生を教える学校に勤めていたが、五月
の何日かの空襲にそこが焼けてしまった。秩父の山奥のお寺に縁があって、そ
こへ学生たちは引き取られていったが、私は妻と生まれたばかりの長女を母た
ちの疎開しているそばに疎開させ、当時の交通事情の悪い中をあっちへ行き、
こっちへ行きで、父のことが気になりながらも暫く訪ねかねていた。
いよいよ日本の敗色の濃い六月末のある日、奥多摩で手に入れたジャガイモ
をリュックにつめてひとり杉並に残っている父を見舞いに出かけた。沖縄にア
メリカ軍が上陸し、このまま進めば本土上陸も必然という時勢だった。今なら
片道一時間足らずの距離であるが、いたるところ空襲を受けた当時のこととて
、立川まで歩き、三鷹ぐらいまで満員の電車に乗って、そのあとまた徒歩であ
るから、優に半日行程である。蒸暑い日だったが、当時はそれは苦痛のうちに
は入らなかった。
そのころは、東京都は都心の過半が廃墟で、都民の中には一度焼けて別の処
に移ったがまたそこで焼け出されたという念の入った人も多かった。父の家は
どうなったかと思って出掛けたが、まだ焼けずにあって、ほっとした。ひとり
暮らしではなく、都心で焼け出されたYさんという家族が、母たちの去った後
のへやに泊まっていて、縁も何もない人だったが、人柄のよさそうな人で、父
の面倒を見てくれているのを見て、これもほっとした。
父は、久しぶりで私の顔を見て、懐かしそうに目をしばたたいた。が、しわ
は深く、頬はこけて、人相は大分変っていた。それが私と二人きりになると、
悲壮な表情でこう言ったのである。
ここへも今にアメリカ兵が攻めてくるかもしれない。そうしたらわたし
はあの防空壕から躍り出て、あの松の木の下で、竹槍でアメリカ兵と刺し
違えて死ぬつもりだ。
低い声だったが、最後は力強く結んだ。私は耳を疑った。が、父の表情はま
じめである。父はこういう時にうそを言う人ではない。本当にそう思っている
のであろう。が、それにしてはなんという悲痛な言葉であろう。
父はこの時六十才をすでに越えていた。「防空壕から躍り出て」とは勇まし
くも言ったけれども、碌なものを食べていない体では、屁っぴり腰でよろめ
き出るのがやっとではないか。アメリカの兵隊たちは、優秀な火器をもって
いるだろうから、こっちが竹槍を構えるより先に、遠方から狙いをつけ、一
発でしとめてしまうであろう。
父は、終戦後こそ、文化勲章を頂いたりなどして栄誉に輝いたが、そのこ
ろはまだそれほど名も知られてはいなかった。それまで貧苦と戦い、幾多の
困難を凌いでアイヌ語という報いの少い地味な研究を続けてきていたが、発
表できたのは、ほんの一部である。そういう矢先に、若造のアメリカ兵に虫
けらのように殺されて、それでいいと言うのであろうか。
父の顔には、日本の政府や軍部に対して、だまされた、とか、ひどい目に
あった、とかいう、恨みがましそうな表情は微塵も見られなかった。そこに
は事は志とちがったが、ベストを尽してきたという心のやすらぎがあるよう
だった。
これには、私は深く心を打たれた。私は実はその日父に逢うまでは、父が、
自分の考えはまちがっていた、やはりお前たちの言うとおり日本は負けた、
と口にするのを期待していた。戦況日々に非なる、何一つ楽しいことのない
その時勢の中で、父からそういう言葉を聞いて残酷な喜びを味わおうという
気持があった。が、父の言葉を聞いて、負けたのはこっちだと思った。
父は恐らく祖国の万才を叫びながら松の木の下で死ねるであろう。私はそ
の何年か前、軍隊に取られ、その翌日から逃げ出す計画を考えていた男であ
る。そういう私は、それまで手の付けられない愚か者のように思っていた父
が、そのような純粋な心境になっているのを知り、何とも形容できない気持
ちにおそわれたのである。
父は、私の持って行ったジャガイモをYさんの奥さんにふかしてもらって、
おいしそうにたくさん食べた。私は予定を変えて一晩父と寝床を並べて寝て、
夜おそくまで言語学の話などをした。珍しくアメリカの空襲もない夜だった。
私は父のことをYさん夫妻にくれぐれもよろしくたのんで、翌朝秩父へたった。
四.
父の死んだ今、父が残して行った、原稿の書き損じや日記の類を読んでい
ると、家族からほうり出されて、ひとりこつこつアイヌ語の研究にいそしん
でいた父の姿がほうふつとする。八十才を過ぎた晩年、杉並の家にひとり残
ってユーカラの翻訳にあけくれしていた強さは、常人ではない。
父が亡くなり、学士会会員氏名録には、金田一姓のものは、私と札幌の昌
三君と二人だけになってしまった。この分では、またぞろカネダではありま
せん。キンダイチです、と説明してまわらなければならない時世が来そうで
ある。この際、「おほろかに心思ひてむなごとも」武田の末流という祖
(おや)の名を絶つなと、一族を励まさずばなるまいと思う。
(東京大学講師・国語審議会委員)
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● 会員からの随筆・論文投稿コーナー ●
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『デフレ下、通貨価値変動会計発動の勧め』
失われた十年と云われた日本経済の低迷には、当局懸命の施策が、既に十三
年に及んでなお、悉く不調に終わっている。その根本原因は、維新以来の教師
欧米に範のない、今も続く本邦での不動産、株式等、基本資産価格の長期大崩
壊への対応が、全く成っていないからだ。
筆者は "通貨価値変動会計"の発動を提唱する。
現在の制度会計は、通貨価値不変の公準を大前提に構築されている。事業体
にマイナス決算が出れば、また個人なら減収となれば、当然損失とみなされる。
しかし物価水準がより大きく下落している過程では、形式的に赤字でも実質は
黒字だ。この現実を会計に採り入れる。企業決算で自己資本が減少しても、物
価下落の範囲内なら、法人税も配当も、差額の実質利益から払い出す。物価が
下がれば、給与、年金、公共料金、保護物価等、各部門は総てを引き下げ、国
債、預金、貸出、生保予定利率等の金利は、マイナスとして自然。勿論この通
貨価値変動会計発動には、物価水準変動の算定が適切であることが大前提だ。
本邦経済はバブル崩壊が始まっても、消費者、企業両物価水準は大体横這い
で、この二、三年、漸くデフレ傾向になったが、なお年間 -1%、-1.5% 程
度と称されている。だから、デフレはまだ大したこともない、などとは云えな
い。この指数には、今なお進行中の不動産等基本的資産価格の長期大暴落が、
殆ど反映していない。資産価格の変動も的確な加重計算で物価水準に算入すれ
ば、結果としての総合物価指数の変動は、遙かに激しくなる筈。それが過去は
問わないとしても、例えば本年、年率-3%と出たならば、公定歩合は 年率
-2% か。他の約定諸金利も然るべく一律マイナスにカット。事業決算損益分
岐は、資産価格の長期大崩壊を殆ど無視し続けてきた本邦だから、初年度の今
年は、気前よく年率 -5% と決定してもよかろう。他の上述各部門は、それ
ぞれの経済的実情を勘案して然るべくカット。民間賃金部門など、自主的に調
整済が大勢で、今更強制カットは不要なのもあろう。これら数値は、専門機関
の技法を駆使して合理的に算定すべきものだか、最終的には、公定歩合の決定
同様、最高責任者の経験と勘を踏まえた決断に委ねる。この会計発動は、デフ
レが止まるまでに限る措置だが、可成り強権が必要で、また銀行券発行流通の
制限等、現行経済法制慣行の大幅な改変を伴うのは勿論だ。
この会計方式は、史上初のもの。デフレ対策には強力だが、事業体や家計の
会計基盤を整えるだけが役割だ。
本邦実体経済回復には、産業投資奨励、生産性向上、新製品新技術の開発、
マーケッチング強化等、経済構造改革を目指す、地道な生産、流通、雇用振興
策の実践が大切だ。
通貨価値変動会計と、地道な経済振興策の組み合わせのみが、今日本を救う。
もはや、財政金融膨張と云う、使い古しの放漫政策は効かない。
昭和22年法文学部卒 大村哲彦
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[会員の方のホームページ紹介]
○http://homepage1.nifty.com/infomedical/
医学、薬学関係の英語文献について良質な翻訳を安価で行っている旨のHP
です。
≪翻訳業,昭和57年理学部卒 坂本義教≫
○http://www8.ocn.ne.jp/~shizoku/
士族家庭史研究会。自己の出自に立ち戻り、父祖の事蹟を相互研究。メルマ
ガ発行中。
≪自営業,昭和54年法学部卒 古川 宏≫
○http://www3.ocv.ne.jp/~nom-sin/
「雑学の交差点」。交差点の流れのような雑学を分析したりまとめたりして
います。
≪日本住宅木材技術センター,昭和41年工学部卒 野村信之≫
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
[会員の方の展示会のお知らせ]
◆◆シルクスクリーン展◆◆
日程:2003年5月27日(火)―6月1日(日)
時間:10:00-17:00(最終日は、16:30まで)
但し 5月31日(土) 17:30まで
会場:町田市立国際版画美術館 市民展示室 A・B室
住所:町田市原町田4-28-1
JR・小田急町田駅徒歩12分
八束 正司夫(工博・昭50年)
◆◆公募第11回芸友展◆◆
日程:2003年5月26日(月)―5月31日(土)
時間:10:00-18:00(最終日は、16:00まで)
会場:文京シビックセンターギャラリー
住所:文京区春日1-16-21
交通:地下鉄後楽園駅 1分、春日駅 3分
主催:特定非営利活動法人 上野芸友倶楽部
八束 正司夫(工博・昭50年)
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《皆様からの投稿募集》
※会員の皆様からの投稿を募集しています。ご投稿者全員に学士会記念品セッ
トを進呈しています。投稿は、匿名希望でも承っております。
※また、会員の方からのご要望により、会員の方のホームページを紹介してい
くことにしました。ご自身のホームページを紹介したい方は、ホームページア
ドレスと30字前後の紹介文を学士会会員課までお知らせください。
※展示会等の告知も承っております。
※投稿については、下記メールアドレスにお送りください。
info@gakushikai.or.jp
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● 今月の一冊 ●
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◆『父』
◆小林恭二・新潮社・1999年刊
著者の小林恭二氏は学生時代、東大俳句会で活躍し、著書に『俳句という遊び』
やNHKの人間大学で『芭蕉』を語ったマルチタレントな作家。
本書は、著者には珍しい評伝風の小説。大正11年生まれの父は、一高でバンカ
ラを演じ、東大、結核療養所では悩めるインテリ青年となり、経営陣にまで昇り
つめた神戸製鋼では偽悪家・変人・趣味人を気取った。そして晩年、常軌を逸し
た庭造りに没頭し、取り憑かれたように仏教を勉強し、ついには「緩慢なる自殺」
を図る。戦争と結核に行く手を阻まれ、それでもなお、自分の可能性を求め続け、
最期まで苦闘する父親を描いた長編小説。=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
このメールはMSゴシックなどの等幅フォントで最適にご覧いただけます。
配信中止はこちらから→ https://www.gakushikai.or.jp/mailmag/index.html
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◆電話番号:03-3292-5955
◆メール:mailto:info@gakushikai.or.jp
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配信に関する手続き、ご意見などは以下のホームページからお願いします。
〈登録・配信停止はこちらへ〉
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総編集長:社団法人 学士会 事務局長 鎌田敬士
編集長 :社団法人 学士会 総務課 課長 岡崎芳夫
発 行:社団法人 学士会 総務課 企画係
〒101-8459 東京都千代田区神田錦町3-28