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いまこそ『BX』について学ぼう ~社会変革のあらたな視点~
第2回目:ホワイトバイオとは?BXで石油依存からの脱却を目指す!

いまこそ『BX』について学ぼう ~社会変革のあらたな視点~

みなさん、こんにちは。
次世代のコア技術の解説記事を各種メディアで発信しているライターの鈴木サトです。
本コラムでは、BX(バイオトランスフォーメーション)=「生物の力を借りて、社会や暮らしの質を向上させる」取り組みについて紹介しています。

第1回:ホワイトバイオとは?BXで石油依存からの脱却を目指す!

前回のメルマガでは、BXの全体像を明らかにしていきました。
今回はBXシリーズ第2弾として、BXの具体的な施策「ホワイトバイオ」に焦点を当てていきます。
未来の工業・エネルギー分野はバイオテクノロジーによってどのように変革されるのでしょうか。

1.BXにおける色分けの意味は?

経団連はBXの各施策分野を便宜上色分けしています。
このような色分けはOECDが提唱するバイオエコノミー、欧州を中心に注目されているサーキュラーバイオエコノミーでは使用されていません。
「バイオ技術×経済」の議論が世界的に進むにつれ、バイオ施策分野は統一されていく可能性があります。
本メルマガでは経団連が提案する施策カラーの分類で解説していきます。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/015.html

2.ホワイトバイオとは?

CO2削減や環境保護の観点から、脱石油は全地球的に重要な課題です。
ホワイトバイオはバイオテクノロジーを用いて工業やエネルギー分野を変革する施策です。
現在、化石燃料は火力発電の燃料や、プラスチック製品の原料、ガソリンなどさまざま用途で大量に使用されており、
化石燃料が蓄積するよりも圧倒的な早さで消費されています。
そのため化石燃料の枯渇が懸念されており、代替となるエネルギー資源や発電方法の研究が進められています。
また、化石燃料は火力発電などで燃焼して使用される際に、温室効果ガスを排出するため、地球温暖化の原因となっているという指摘もあります。

3.ホワイトバイオの意義

そこで期待されていのがホワイトバイオ分野の技術の活用です。
ホワイトバイオは「微生物の力を借りて、石油に頼らない新しいエネルギーや原料を作る」取り組みを指します。
工業分野で注目されているのは動植物由来のプラスチックや合成繊維、合成ゴムなどの原料開発です。
工業製品の部品や原材料を持続可能なものに代替することで、環境負荷を大きく低減することができます。

エネルギー分野のイノベーションにも期待が集まっています。
現在、バイオエタノールの生産はブラジルやアメリカを中心に進行中です。
しかし、原材料の獲得競争や農地制限などの課題が挙げられています。
そこでホワイトバイオによって、身近な動植物資源からバイオ燃料を生産する取り組みが進められています。

4.ホワイトバイオがより身近に

みなさんは、消費者としてあるいは研究者として、ホワイトバイオに貢献していく可能性があります。
消費者としてはバイオ由来の燃料の選択、バイオ原料を使った商品の購入などが挙げられます。
研究者になって新たなサステナブル原材料の開発に携わるかもしれません。

すでにホワイトバイオへの取り組みを進める企業も日本には多くあります。
株式会社ユーグレナはミドリムシを活用したバイオ燃料の開発を進めています。
三井化学はバイオマス化学品やプラスチック製品にバイオ原料を利用しています。
旭化成はバイオプラスチックの工場設計を推進しています。

多くの人や企業がホワイトバイオへの理解を深め、貢献していくことで、
バイオ由来のエネルギーや工業製品はより身近なものになっていくでしょう。


まとめ

今回はホワイトバイオの可能性について解説をしました。
プラスチックや合成繊維といった石油由来の製品は、BXによってエコフレンドリーに変わっていきます。
これからのホワイトバイオの展開に注目です。

次回のメルマガでは、食料や植物に焦点を当てた「グリーンバイオ」を特集します。
日本の食糧事情をバイオテクノロジーはどのように変革していくのでしょうか?
どうぞお楽しみに!

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