~ ひと足お先にコラム ~「部下になる側から『上司』を学ぶ」
第1回:上司ってどんな人? まずは状況を整理してみた
~ ひと足お先にコラム ~「部下になる側から『上司』を学ぶ」
みなさん、こんにちは。
卒業まで残すところ10ヵ月となりましたね。
就職する/進学する/起業するなど、進路はいろいろあると思いますが、あなたがこれから出会う新しいタイプの人物=「『上司』について考えてみよう」というコラムをお届けします。
“彼を知り己を知れば百戦殆からず”と言いますよね。
ひと足お先に準備を始めましょう!
第1回:上司ってどんな人? まずは状況を整理してみた
1.比較の対象として ~大学教員との違い~
身近な例として大学の教員(あなたの卒研指導を行う先生をイメージ)と『上司』を比べてみましょう。
◆教員の場合は?
あなたを採点します。知識や技能を授けます。基本的に有料です。
あなたには一定度の選択権があり、指導教員の変更は稀にあります。
あなたとのつながりは学業です。客観的に検証可能なものが対象です。
◆上司の場合は?
あなたを評価します。業務に関する指導をします(しない人もいます)。
お金を支払う必要はありません。
あなたに選択権はなく、直属の上司の変更は容易ではありません。
あなたとのつながりはビジネスです。時と場合により判断は異なります。
教育機関である大学では、学生の成長そのものが目的であり、教員は学生の学びをサポートする存在である一方、営利組織である企業では、組織の目標達成が主な目的であり、上司はそのために部下に指示する権限があります。
研究のお手伝いなどを除けば大学の教員に対してあなたができることは限定的です。
上司(職場)に対しては、あなたの貢献が強く求められており、やるべきことは幅広く、臨機応変な対応が必要です。
2.グループとチーム
グループとチームはどちらも集団で活動するものです。
グループとは特定の目的のために集まった単なる集団であり、集団としての目標の有無は問われません。
また場合によっては必ずしもリーダーは必要ではありません。
全体の成果は、メンバー一人ひとりが発揮した能力を合計したものと考えられています。
これに対して、チームではメンバー全員が共同体として、同一の目標を目指して活動します。
リーダーのもと、メンバーは相互に刺激し合い、相乗効果を高めながら成果を導いていくことが特徴といえます。
個人の能力で解決できない課題も、チームの総合力で解決していけるといったメリットがあります。
3.現代の職場は「基本的にチーム」。
チームリーダーは上司である管理職
変化の激しい現代のビジネスにおいて、チームワークの重要性が一段と高まっています。
メンバーが一体となって協力することで、個々の能力を最大限に引き出し、より大きな成果を生み出すことが期待されています。
このため企業では若手社員だとしても、組織の目標達成という共通の目的に向かって一緒に働くチームの「メンバー」として、役割に応じた責任を果たすことが求められます。
そして、そのチームのリーダーは、通常、上司である管理職です。
チームリーダーに特に求められる役割は、チームが目標に向かってスムーズに仕事を進められる状況をつくることです。
そのためには、目標の設定・メンバーの育成・信頼関係の構築・環境整備・他のチームとの調整などを行います。
4.そして、上司からのひとこと
「〇〇さんにはこれをやってほしい」
どこの職場でも、ある日、突然に、こんなことを上司から言われます。
チームの状況や上司の見立てが理解できていないと、「???」と考えこんでしまったり、場合よっては拒絶感を感じたりすることもあるかもしれません。
成長を期待してチャレンジングな内容になっているかもしれませんし、まあ基礎からきっちりやりましょうという設定になっているかもしれません。
はっきりしていることは、上司の側にはそれなりの計算や設計があって、指示が出ているということです。
チームの一員として、いったん受け止めてみて、そのメッセージを読み解く努力をしてみましょう。
「この人なりの算段があるはずだ」というリスペクトが、最初の一歩になるはずです。
まとめ 上司はあなたの所属チームのリーダー
チームの成果に責任を負うのがチームリーダー。
あなたを含めたチームメンバーの様子に目を配り、チームのパフォーマンスを最大化するために働いています。
必要以上に距離を取って謎の人物のままにしていてはあなたの成長にもマイナスです。
さあ、新しい船出に備えて一緒に考えてみましょう、上司について。
知彼知己者、百戦不殆(“彼を知り己を知れば百戦殆からず”(孫子))
第2回目は「データから見える上司との関係」をお伝えします。

藤野紗衣(医療ライター&薬剤師:東北大学卒)
『働き方改革や働くことの悩みについて発信しています!』