いまこそ『BX』について学ぼう ~社会変革のあらたな視点~
第5回目:ブルーバイオとは?BXで海洋資源活用と環境保護を両立
いまこそ『BX』について学ぼう ~社会変革のあらたな視点~
みなさん、こんにちは。
次世代のコア技術の解説記事を各種メディアで発信しているライターの鈴木サトです。
本コラムでは、BX=「生物の力を借りて、社会や暮らしの質を向上させる」取り組みについて紹介しています。
第5回目:ブルーバイオとは?BXで海洋資源活用と環境保護を両立
1.おさらい~BXとは?~
BX(Bio Transfromation)は、バイオ技術を用いて社会や経済を改善していく取り組みです。
エネルギーや食糧問題、健康・医療といった分野を生物の力を借りて変えていきます。
そして、BXの取り組みは分野ごとにホワイト、レッドなどで色分けされています。
色による分類は便宜的なもので、経団連が始めた日本独自のものです。
2.ブルーバイオとは?
ブルーバイオはバイオ技術によって、海洋資源の活用と環境保護を両立させる取り組みです。
藻類などを用いた燃料生産、海洋生物を原料とした薬品開発、微生物による水質改善を実現させます。
3.ブルーバイオで進む海洋資源の活用!
海洋生物の種類は多く、生態研究がまだ手つかずの生き物や植物は多いといえます。
さまざまな海洋生物の生態が解明されていくことで、ブルーバイオの可能性はさらに広がっていくでしょう。
ここでは、現在進行中の代表的なブルーバイオを3つ挙げて紹介します。
1)海洋資源からエネルギーを生産
肉眼では確認できないほどの藻類(微細藻)は、植物由来のオイルの材料となります。
そして、このオイルはエネルギー源として燃料転換が期待されています。
また、微細藻には高いCO2固定能力があることから、カーボンリサイクルへの取り組みにも貢献できます。
2)海洋生物から薬品が生まれる
すでに海洋生物から、抗がん剤や乳がんの治療薬が生産されています。
他にも、クラゲから採取された緑色蛍光タンパク質(GFP)は、細胞内のタンパク質の動きを追跡するのに利用されています。
3)バイオで海が綺麗になる
海洋生物を利用して汚染物質を分解する技術(バイオレメディエーション)の開発が進んでいます。
魚類や貝類を使ったバイオセンサーにも注目です。実際に海洋で生活する生物の変化によって、どのように水質が汚染されているのかを分析します。
4.ブルーバイオに日本が取り組む意義
日本は狭い国だと思いますか?確かに、国土は約38万平方キロメートルで世界61位です。
しかし、海に目を向けて下さい。
日本は世界有数の海洋国家であり、排他的経済水域(EEZ)と領海を合わせた面積は、約447万平方キロメートルと世界第6位に位置づけられています。
日本がブルーバイオで海洋資源の活用を拡大・深化(進化)させることは、大きな意義があるといえます。
まとめ
ブルーバイオはバイオ技術を使って海洋資源の活用を進める取り組みです。
環境保護の効果も大きいため、持続可能な経済成長にも貢献します。バイオ技術の発展で、より多種多様な海洋資源の活用が期待されます。
これからのブルーバイオに注目です。
次回は、バイオの力で環境保全とリサイクルを進める「グレーバイオ」を特集します。お楽しみに!