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夕食会・午餐会感想レポート

2020年11月午餐会「習近平体制の今後と日米中関係」

夕食会・午餐会感想レポート

11月20日午餐会

我が国から見れば異形の大国と映る中国の一番進んでいる点は、人を管理する技術というのが國分氏のご意見であった。新型コロナ感染対策においても中国の対処法は際立っている。毎日新聞で見る「世界各国・地域の新型コロナ世界の感染者・死亡者数」の表からも中国の姿はいつのまにか無くなった。ただ國分氏の話では、初動の遅れと感染事実の隠蔽と権力闘争との結びつきが、世界への感染拡大の原因とのことである。

日本とは、情報公開、個人の行動への強制力がまるで違う。こういう非常時においてはどちらがより迅速に効果を生むのかはよく考えてみる必要がある。ただ日常から、行動や情報発信を、政府の方針に沿ってるか否かで厳しく規制される社会には大きな違和感を感じざるを得ない。人は、自分が選択した毎日の充実した生活の積み重ねで、より良い自分と社会の未来を築いていくものだと思う。

ところで日本の現状は、安全保障はアメリカに依存し、経済面では、中国が最大の貿易相手国である。中国は、アメリカの大統領選挙後の混乱を衝くようにRCEP協定に署名し、TPP参加も積極的検討を表明した。米中対立の激化の中で、中国は、アジア各国との経済連携を進める行動を相次いで行っている。今後も米中二大大国の覇権争いは、経済、先進技術開発、軍事、宇宙開発あらゆる分野でますます激しさを増していくだろう。この中で日本は、いかに独自性を発揮し、平和と発展の道をたどっていけるのだろうか。

それには戦後、日本国民がたどってきた独自の努力のさらなる積み重ねと、民主主義と自由を重んじる諸国とのより強い連帯が必要である。そして経済以外でも中国と共通な課題、たとえば地球温暖化、医療、少子高齢化対策、社会保障などについての共同研究など両国の利益につながることを地道に積み重ね、世界の中で先進的な取り組みとして大国としての責任を果たしていくことだろう。

自国だけが利を得ようとすれば、必ず衝突が生まれる。そしてそれは果てしない争いとなる。防御を固めるために、戦いに勝利するために、より強力な武器を獲得する競争は果てしがない。人類の歴史の中で何千年と繰り返してきたことだ。危機を煽られ、高価な武器を売りたい国の言いなりになることは避けなければならない。

現実とありたい姿の中で、先に光明を見つめつつ、いかに対処していくかは、まさに国民の意思と政治の力であると思う。

(北大・教育 牛島康明)