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夕食会・午餐会感想レポート

平成26年10月午餐会「目指すべき日本の未来の姿」

夕食会・午餐会感想レポート

10月20日午餐会

帰納的な問題提起と演繹的な問題提起が微妙に配された印象的なご講演であったと思います。
帰宅してご講演の流れを辿ってみたら、大変精緻な構造になっていることに気が付きました。最初に『勝ちて和す』という言葉を出し、ご自分の実業へのかかわり(元東芝会長)と、現在のお立場(前日商会頭)とに関連したテーマを紹介され、次に日本の将来に向けた科学技術と日本文化とから得られるも のを足して『和を完成(?)させる』という結論に至り、『冒頭の問題提起と見事な係り結びの関係』になっていたことを知り、仰天しました。
私は「科学技術と、日本文化の問題とは、演繹的なアプローチが効くが、前半の帰納的提起問題がなかなか難しい」と思います。新聞情報では、現在でも、特に製造業においては海外生産からの顕著な回帰は起きていません。これがないと労働市場は活性化せず、賃金は停滞すると思いますが、新市場の立ち上げが喫緊の課題だと思いました。
その間、特に中堅企業は心配なことです。コンベンショナルな製造業にとって生産現場が従来どれほど価値のあるものか、(勿論営業部門も大切ですが)トヨタ式生産管理などを考えれば、一目瞭然です。中堅企業のビジネスを、プッシュ型とプル型とに分類したとして、海外対応を強化する時、それぞれのKFS(おそらくは国際標準等)の重要性が浮上してくると思いますが、この辺はまだはっきりとは見えていないことを感じました。

(東大・教養、勝亦 眞人)