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夕食会・午餐会感想レポート

平成27年2月午餐会「想像するちから:チンパンジーが教えてくれた人間の心」

夕食会・午餐会感想レポート

2月20日午餐会

本日の講演は初めて知ることのできた事柄が多く、「G7の中でサルが生息しているのは日本だけである」から始まって最後の「おばあさんの力」まで興味深く聴くことができました。人間は万物の霊長だと勝手に思い込んでいましたが、「ヒト科4属」の中のヒトにすぎないこと、ましてチンパンジーが表示された数字の配置を瞬時に記憶する能力など、ヒトが持っていない(あるいは失った)能力を持っていることなどを知って、新鮮な驚きを感じました。
ヒトは樹上生活からサバンナに出て、2足歩行を始めることで脳の著しい発達を獲得しましたが、他方仰向けの姿勢ができるようになり、母と子が早い時期から離ればなれになることで親子の直接の接触の機会が少なくなりました。4歳ごろまで母親と密着して過ごすチンパンジーには、ヒトの赤ちゃんのように夜泣きなどをして親の注意をひこうとすることはないということでした。いわんや、最近社会面をにぎわしているような「親が子を殺す」「子が親を殺す」などヒトの世界で起きているとんでもないことはサルの世界では起こらないでしょう。ヒトは言葉や文字を身に着け、時間や空間を把握する能力を獲得しましたが、その過程で失ったものも多かったと思います。ヒトはもっと謙虚になるべきかもしれません。

(東大・法、諏訪 茂)


講演の冒頭に猿はヨーロッパ、北米に生息しているかという講師の簡単な質問に私は、そして多分聴衆者の多くは答えられなかった。そして生息していない事、つまり先進国で猿が生息しているのは日本だけという事を知ったことは新鮮な驚きであった、それが日本に霊長類研究所が出来て其の面の研究では世界をリードしている所以である。
また次の講師の説明、ヒト科4属、即ちヒト科にはヒト、オランウータン、ゴリラ、チンパンジーの4属が有る事、これが法律に明記されている事も私を含め多くの聴衆者が初めて知った新鮮な驚きであり、ヒトと類人猿の関係を生々しく示すものである。
更に Out Group 即ち外側から対象物を観察する研究手法が対象物を効果的に研究する手法であり、霊長類研究所はチンパンジーという人間の Out Group から人間を研究をされているという説明も我が意を得たものであった。
私は国鉄に勤務し、長らく海外鉄道技術協力に従事して居り、海外での仕事を通じ、日本、日本人、日本の鉄道の特徴を理解する機会に度々恵まれた。講師は講演の最後を人間らしさとは想像力であると締めくくられた。
霊長類研究所は多くの研究でヒトを研究されておられると思うが、最近の母親の幼児殺し、虐待等痛ましい事件が多いが、霊長類研究所の成果を人間の教育、親子関係等に応用する事が出来ないだろうか。研究成果の人間社会への応用例に就いて次の機会にお話を伺いたいと思う。

(東大・工、黒田 定明)