文字サイズ
背景色変更

夕食会・午餐会感想レポート

2019年1月午餐会「遺伝統計學で迫る日本人集団の適応進化」

夕食会・午餐会感想レポート

1月21日午餐会

今回の講演会のテーマ、遺伝統計学で迫る日本人集団の適応進化を見て、遺伝子と日本人集団という言葉に興味を持ちました。講演の感想を次の3点、ホッとしたこと・納得したこと・ゲノム研究に期待したいこと に集約して報告します。

1、ホッとしたこと
講師はかなり若い教授でしたが、流暢な語り口でポイントを指摘されました。それは、ヒトゲノムの配列と個人差・ゲノムの変化要因(選択圧)と適応進化の件等・最後に日本人集団の適応進化の解明でした。
冒頭で、ヒトゲノムの解説がありました。ゲノムの本体はDNAで(参考『栄養と遺伝子のはなし』佐久間慶子・福島亜紀子共著、技報堂出版)、それは4種類の塩基でできているという話の後で、DNAと蛋白質の複合体である染色体に触れ、DNAの複製による染色体(常用染色体)の数が44本ならヒトに、46本ならば類人猿になると説明されたのです。おそらくヒトになる過程で染色体が減ったからではないかと推測されていました。その話を聴き、自分はヒトに生まれてきて運が良かったと、今の自分が愛おしく思えました。

2、納得したこと
ヒトゲノム、ヒトの遺伝情報のすべてに関する研究が可能となり、遺伝する過程で設計図(DNA)に書かれている文字(塩基)が少し異なる場合がある(参考『文科系のためのDNA入門』武村政春著、ちくま新書)状況を演者はスニップ状態、一塩基多型として日本人集団の特徴を説明されたことです。
それによると、多くの日本人にはアルコール摂取量を減らす遺伝子が生じていたという統計が明らかにされたようです。多くの日本人がお酒に弱い体質とのことです。勤め人時代からお酒に弱かった自分に納得しました。

3、ヒトゲノム研究に期待したいこと
以下の2分野についてヒトゲノム研究が深化されることを期待します。
(1)個別化医療への応用
分子栄養学など、遺伝子を扱う科学と連携して、糖尿病や骨粗鬆症などの発症リスクの軽減に役立ててほしいと期待します。
(2)本研究に関する国際ルールづくり
DNAを何らかの意図をもって書き換えてヒトを含む生物を人工的に作り出そうとする誘惑・傲慢さに歯止めをかけ、紙の領域を侵さないようルールを関係学会や国際機関と連携して策定されることを期待します。

(名大・法 髙橋 久雄)