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夕食会・午餐会感想レポート

平成24年12月夕食会「出生コホート研究の意義」

夕食会・午餐会感想レポート

12月10日夕食会

プラシーボ(偽薬)と知って服用してもかなりの効果があったという研究があるという。その理由として私は、自分が人類の知識増進に寄与しているという生きがい意識と、実験に参加するときに検査などを受けて健康について自覚したことによるものであろうと考えている。
エコチル調査では、調査の被験者となること自体、一定の健康意識がある人が多いという偏りがありえる。しかも定期的に検査を受けて専門家に接触するのに加えて、同じ仲間と会を持っているそうで、母親が育児に1人悩むことも多少は解決されよう。山縣先生が説明された白玉・黒玉にある種の干渉を加えるということであり、評価尺度を開発しなければならないことを含めて、研究の困難さは想像もつかない。
一方で、この研究は実験であるとともに、地域の人たちが子育てをするのを支援するという、実践の要素も自ずと有することになると考えられ、調査への参加率を上げることが、疫学的な研究の信頼性を増すだけでなく、実践の観点からも望まれる。
規模の大きさといい、問題の複雑さといい、マゼランの地球一周航海にも比較すべき困難な事業であると思うところですが、日本社会のみならず世界の人々への貢献として、着実にプロジェクトを進めていただければと期待しております。

(東大・工、中尾 忠彦)