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夕食会・午餐会感想レポート

平成27年11月午餐会  「家族の多様化と家族法の対応」

夕食会・午餐会感想レポート

11月20日午餐会

本日は、50年近く前に加藤一郎教授の講義を聴いて以来、実に久しぶりに家族法にかかる諸問題を正面から伺う機会を与えていただきました。現役の東大教授から、かつての加藤先生を彷彿とさせるような明快な講話を拝聴させていただき、現在の日本の家族、社会が直面する諸問題を改めて考えさせる有意義な時間を過ごすことができました。

この半世紀の間に、日本の経済、社会は大きく変化し、これに伴い家族法にかかる問題も、かつては想像もつかなかったような様々なものが出てきました。これらに対しては、比較的にうまく対応できた部分と、十分に対応しがたい部分があったとのご指摘でした。「実現しつつある対応」として成年後見法や親権法などの改正やDV防止法などが挙げられました。これは国民の間に、個人の尊厳や個人の自由意志の尊重などの意識が浸透してきたことの反映でもあると思います。

他方、「実現しにくい対応」として夫婦別姓、同性婚、親子関係の人為化などコントラバーシャルな問題が挙げられました。これは、これらの問題に個人の尊厳や自由意志の尊重ということでは割り切れない、「生理としての承認」が得にくい側面があるからでしょう。家族関係は大きく変わってきていますし、単身世帯が増加しつつあるのも事実です。しかし、「家族」というものには固有の社会的価値があるのではないでしょうか。子孫を残し、育てるという自然的(動物的)な側面も無視できません。いずれにしてもこれらの問題は非常に重く、深いものがあります。

(東大・法、諏訪 茂)