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夕食会・午餐会感想レポート

平成21年10月夕食会「緊迫する中東情勢~イスラエル・パレスチナ・イラン~」

夕食会・午餐会感想レポート

10月9日夕食会

今人類は、千尋の谷にかけられた細い橋を渡っている。一歩足を踏み違えれば、破滅的状況に陥る。それは核戦争だ。火種は中東にある。NHK解説委員の出川展恒さんは、中東のキイパーソンに会い最新の状況を話してくれた。
以下、私なりにその講演の骨子を*に纏め、感想を(・・・)で記す。

1.イスラエル
*2月のイスラエル総選挙で右派が過半数を占め、ネタニヤフ政権が発足した。
*イスラエルは、ホロコーストのトラウマがあり、国家の維持のためには「いかなる手段も排除しない」(ネタニヤフ首相)。(気持ちはわかるが、?)
*イスラエルはイランの核開発は絶対に容認できない。第二のホロコーストへの恐怖!
イランがイスラエル向けに核爆弾をミサイル発射する能力を備えたら、イスラエルは
先制攻撃するだろう。(先制攻撃不可の原則徹底が世界平和に必須。国連決議を要す。)

2.イラン
*イランの6月の総選挙で、核とミサイル開発を推進するアフマデイネジャド大統領が過半数を制した。
*イランの国策は「イスラエルを世界地図から消し去らなければならない」
(アフマデイネジャド大統領)。(この考えは改めてもらわねばならない)
*イラン指導部内の対立が表面化し、政権は軍事独裁色を強めている。
(要するに、中東状況は一触即発ということだ。根は非常に深いがなんとかしないと!)

3.調停の状況
*紛争の防止には双方の言い分を聞き、仲介する調停者が必要。イラク戦争は当事者が
相手を読み違ったのが原因。(調停者の資格は双方から信頼されること。日本は資格あり)
*オバマ米国大統領は5月以降仲介に入り、若干の進展がある。
*IAEAの査察が鍵を握っている。天野議長が近々就任するので、日本の責任は重い。
(米国はイスラエルへの肩入れがあったので、アラブの信頼は得にくい。中立的立場に
ある日本外交が渾身の努力を払うべき局面である。中東の石油にエネルギーを依存する日本にとって、中東で戦火が開かれることは、自己の存在をゆるがす事態でもある。
政権交代に目を奪われている国内情勢において、中東和平への努力が緊急に必要との示唆を含んだ、きわめて時宜を得た講演であった。鳩山友愛外交の試金石である。
本講演直後、オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞したとの発表があった。

にぎ田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな   額田王

(東大・工博・工、加納 剛)