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夕食会・午餐会感想レポート

平成27年7月夕食会「政界人物評論・今昔物語」

夕食会・午餐会感想レポート

7月10日夕食会

「吹けば飛ぶような今の中央公論」「日本の政治記者は政界の寄生虫」など手厳しい指摘が小気味よいほどだった。一方、「自分をマイノリティー視している安倍首相」という鋭い観察は、今の政権がどこかでつまずいた時のもろさを予感させるものでもあった。

万年与党時代の自民党であれば、じっくりキャリアを積んで上を目指すコースがあったのに、それができなくなった今どきの若い議員たちの刹那的な姿に、不安を覚えた聴衆も多かったのではないだろうか。ひと昔前の「大人の論理」と見識を持った政治家たちとの比較も、時間があれば聞きたいところだった。

2回目の政権担当が異例であるだけでなく、政権の質そのものも大きく変えた、という分析も興味深いものだった。だとすれば、明治・大正期に繰り返し登場する桂、西園寺内閣などとの共通点にも目が行く。また、失策の連続だった民主党政権も、次の機会があれば案外・・・という想像もできて、刺激的だった。

アカデミズムの世界から半歩以上ジャーナリズムの世界に踏み出しておられる姿は、ユニークなものだ。冒頭の「寄生虫」発言も、京極純一先生が「政治記者は広義の政界の一部」という趣旨の分析をしていた事態を、ごく間近に観察した結果かもしれない。

全体に、安倍政権の本質をえぐる密度の濃い分析は後半に集中していたので、軽めだった前半の楽屋話の時間がもったいなく感じられた。

(東大・法、内山 眞)