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夕食会・午餐会感想レポート

平成25年4月午餐会「安倍内閣と危機管理」

夕食会・午餐会感想レポート

4月22日午餐会

今回の佐々先生の講演は先生の実体験に基づくもので、大変感銘深く拝聴させて頂きました。安倍内閣が憲法を改正し、安保体制を変革しようとしていることは賛成であり、この際、その方向に向かって進み始めたことを喜ばしく思っています。自衛隊の国防軍への改変も当然であり、現在のように自衛隊が違憲の組織として国民から低く見下されているようでは、国の安全を保つことはできません。
しかし、一部の国民からは依然としてこの改変に反対の声が出ています。それは国防軍への改変を過去の軍部の復活と考え、軍部の独走と戦争への突入を連想するからです。過去の軍部には統帥権の独立という憲法上の要因があったのであるから、その点を考慮してシビリアン・コントロールを徹底することは勿論であるが、如何にシビリアン・コントロールを徹底してもそれが破られる恐れが絶対にないとは言い切れません。この点について国民を納得させるにはどうすればよいのか、今回の講演に関連して、ぜひ先生のご所見をお聞かせ頂きたいと存じます。

(東大・法、藤井 照雄)


第一次安倍内閣の安倍総理は私が国民学校時代の恩師から聞いたとおりの人物像でした。この恩師は戦後すぐに私の学校から成蹊小学校に請われて転任して行かれました。そこで安倍総理のクラス担任として観た安倍少年はおっとりとした坊ちゃんタイプの好人物だったのです。
ところが第二次安倍内閣の安倍総理は全く打って変って、この人に国の舵取りを任せようという思いを抱かせました。また佐々氏の講演によって益々その思いを強くしました。佐々氏の講演は活字以上の迫力があり、安倍内閣の危機管理は私たち国民が絶対にこれを下支えして全うしなければならないと強く感じました。
佐々氏のこの強烈な信念に出くわしたのは、私が浅間山荘事件当時、長野県上田市の某脳外科病院の近辺に在住していた時のことです。山荘の犯人の銃弾に眼と頭部を撃たれた警察官がこの病院に運び込まれて尊い命を失いました。犯人である学生活動家は命に別状なく逮捕されました。このアンバランス、こういった尊い犠牲を乗り越えて、佐々氏の確固たる信念が生まれたのだと思います。

(東大・法、塩島 晴次)


尖閣、竹島、東日本大震災、原発、ボストンのテロ問題と日本を取り巻く情勢は危機に満ちている。その中にあって佐々淳行氏 (初代内閣安全保障室長)の「安倍内閣と危機管理」を興味深く聴いた。内容は浅間山荘事件から始まり、安田講堂事件、尖閣列島問題、民主党政権の問題と多岐にわたり、我々、「全共闘世代」「団塊の世代」から見ると1960年代後半から現代に至る国家の存亡や思想的大転換を齎した事件が走馬灯のように思い出された。また、佐々氏の国の危機管理という視点からの「佐々史観」を拝聴した。
特に印象に残ったことは、今の政治家に「権力意志」が無くなり、「権力欲」だけが横行しているという指摘である。これはニーチェの言を引用しながら、私利私欲の世界であると彼は糾弾する。権力者に成ることが目的に成り、国民のために何をしようとしているのか分からない。巧妙に隠ぺいしながら、自分の欲のことを第一に考える政治家は権力欲の亡者である。民主党政権とは政権交代に名を借りた欲の徒花だったのだろうか。拝金主義の世の中に少しずつ変化が現われてきているが、「何に成った」という価値観から「どう生きたか」の価値観に変わる時代が来ている気がする。「生き方」や「心の在り方」が問われる時代である。佐々氏が、権力意志が具現化された「安倍晋三氏は救国の宰相に成るかもしれない」と云った最後の言葉を信じたい。

(東大・工、武田 英次)