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夕食会・午餐会感想レポート

平成26年4月夕食会「長期観測データから見た異常気象」

夕食会・午餐会感想レポート

4月10日夕食会

最近異常気象が多いのは、二酸化炭素などを原因とする地球温暖化の影響ではないかと勘ぐっていた私は、専門家のお話で自分なりに納得したいと思って参加させて頂いた。結論的には、人為的な原因による長期的な気候変動は確かに観測されているが、その100倍ほどの短期変動の中に埋まっているので、個々の異常気象を人為的原因による地球温暖化由来と断定するには無理がある、ただその 確率は高まっているというお話だったと理解した。

地球温暖化は、人為的原因を主要原因として100年で0.8度ほど進んだという。一方国内51地点で100mm以上の多量降水があった年間日数の51地点の平均は0.5~2日の短期的バラツキがあるが、長期的傾向としては過去100年で25%増加したという。顕著な増加ではあるが、1年につき0.25%に過ぎない。年毎の短期変動が±50%もある中に毎年0.25%、10年で2.5%の変動が埋もれているのだから、個々の異常気象を単純に地球温暖化の影響と断ずるのは科学的ではないと知った。しかし長期的傾向としては、降水日数が減少する一方で、大量降水の日数は増加しているという。台風も来襲数は減っているが、強烈な台風が増えているという。

今後は個々の気象事象が長期的な動向に何%くらい帰結できるかという係数の研究を高めていくというお話だった。学士会の催しに相応しい、マスコミとは異なる極めて科学的なお話であった。

(東大・工、松下 重悳)


提示いただいたデータを見て気温の上昇傾向は顕著であると改めて認識しました。気象状態の変化は非常に長期にわたって観測して初めて傾向が見えてくるもので短期的な判断は出来ない、そのために地道な観測の継続をされている気象庁の方々の研究活動に対し敬意を表します。  また計算技術の発展成果を活用して気象シミュレーションの計算メッシュをどんどん細かくして、今では2~5kmのメッシュで計算出来るまでに進歩させてきている点にも敬意を表します。

それにしても気候温暖化を人間活動の結果と見ている割合が先進国でも5割程度と少ない国があることは驚きでした。日本は意識が高い国ですね。マスコミがセンセーショナルに書き立てることやエネルギー問題に関心が集まっている状況なども原因とは思いますが、それ以上に周りを海に囲まれていて温暖化の影響の海面上昇などを身近に感じられる地理的環境であることも大きく影響していると思います。

今後も地道な研究を続けられ気象予想の精度アップや地球環境保護につなげていただけるよう期待いたします。本日はありがとうございました。

(東大・工、柴垣 琢郎)