文字サイズ
背景色変更

夕食会・午餐会感想レポート

平成30年3月午餐会「しっくりこない日本語」

夕食会・午餐会感想レポート

3月20日午餐会

「私にとってのしっくりこない日本語」

1.表現
(1)券売機
国鉄が創語したこの言葉、漢文を習得した経験のある年代にとって、当時は許せない表現でした。当時の週刊朝日も「轍転機」とは言わないだろうと、痛烈に批判しましたが、「売春」「売国奴」など聴き辛い言葉に似た表現「売券機」とは言いたくなかったのでしょう。 週刊朝日は、「出札機」と言ってはどうかと提言しましたが、全国の私鉄が追随した結果、「券売機」が定着してしまいました。
(2)非課税法人
動詞「課す」の否定形は「不課」。 「課されず」と受動形なら「不被課」でしょうか。「課税されない法人」には、「免税法人」という表現を使ったらどうでしょうか。
(3)故障中
公共施設の機械が故障したとき、見かける表現ですが、「故障が進行中で、どうしようもありません」と読めてしまいます。 併記の中国語表現は、「故障了」となっています。「修理中」というなら分かりますが、「未修理」というのが、実状にも合っていますね。
(4)Λ(λの大文字)
日本を代表する航空会社の最大手が、自社の表記に「JΛL」を用いました。古代ギリシャ文明を冒涜するこの表示、当時の同社内から「良くない」という声が挙がらなかったのが不思議なくらいです。
近頃、青空高く「Λ」を2字も使った社名が掲げられているのを見かけます。 駄目よ!

2.読み方
小学校上級で「重箱読み」「湯桶読み」は好ましくない。 「音」と「訓」をごちゃ混ぜにするのは避けるべきだと教わりました。
中学1年の時、母校の校訓「質実剛健」「勤勉力行」の最後を「リョクカウ」と読むべしと、聞かされました。 校訓の8文字すべてを「漢音」で読むべきだとするこの正論は、いつか片隅に追いやられ、今や我が母校でも「リッコウ」が定着しています。
江戸時代から明治時代までは、漢音と呉音を混用することは、正しくないとの認識があったのでしょうが、驚いたことに「大正」という年号の読みに、漢音の「タイセイ」でも、呉音の「ダイシャウ」でもない「タイシャウ」が採用されました。
明治も末期になると、混用を大目に見る風潮が、既に蔓延していたのでしょう。

(名大・経済 佐々 幸夫)