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夕食会・午餐会感想レポート

平成29年12月夕食会「2018年日本政治の展望」

夕食会・午餐会感想レポート

12月11日夕食会

ユーモアを交えた芹川洋一氏の話は、一寸先は闇と言われる政治の世界において、2018年以降を考える上で大変興味深かかった。

経済面・軍事面で膨張する中国、暴発危機を抱えた北朝鮮、慰安婦・強制徴用で日本のイメージダウンを世界に発信し続ける韓国、プーチンの強権政治によるロシアの領土拡大、アメリカファーストを掲げるトランプ政権の不安定さ。日本を取り巻く外部環境は一段と厳しさを増している。今年の総選挙で安倍首相は国難突破解散と訴えたが、確かに前述した外交問題と少子高齢化、財政問題などの内政問題は多くの不安を国民に投げかけている。

こうした環境下では、政府と国民が一丸となって直面する難題に立ち向かっていかなければならない。安定した政権、信頼されるリーダーが最も必要とされる時代である。今の自公政権は、国会での3分の2の強みを生かしているのか。中長期視点に立ち、時には国民に痛みも共有してもらい将来への課題解決に真剣に取り組んでいるのか疑問である。

安倍首相は、モリカケ問題の発生とその対応・姿勢で国民の信を失ったが、国民は都議会選挙と衆議院選挙を同一レベルと考えるほど愚かではないから、総選挙の議員数では勝利した。しかしこのまま、人間的信頼性を失ったまま長期政権だと誇ったところでむなしいだけではないか。安倍一強で何が悪いと強弁する面々もいるようだが、私は内心ああまたいやな時代がやってくるかもしれないと危惧の念を抱いてしまう。憲法改正にしても、自衛隊を否定する日本人が現在何人いるだろうか。人を痛めつけるのに何も罪悪感を感じない極悪人や精神破綻者や詐欺を働く悪人から国民を守るために警察が必要なように、暴力的な海外政権や大災害から国民を守るために自衛隊が必要なこと、そのためにコスト負担しなければいけないことを我々は理解している。何も今更大騒ぎして憲法に明記する必要があるのか。今までも防衛装備品輸出などと次々に骨抜きにしてきているではないか。政権の求心力を持たせるため、政権の延命のために画策しているのではないかと国民は薄々気づいてきている。このようなことで財政難にもかかわらず、多くの費用と時間を使うのであれば、議員定数の一層の削減、二院制の見直し、原発ゼロを目指したエネルギー政策、輸出もできる高品質省力化農業への取り組み、経済的には恵まれなくても向学心に燃え学力を備える学生への育英金拡充、労働力不足の為に海外から招く技能実習生への適正な処遇による継続した労働力補充、保育所増設、老人介護施設増設などの課題に果敢に取り組んでもらいたい。日本国民の将来にわたる幸福のために、政権を奪い取る気概を持った、戦争は絶対にしないという信念を持ち敬愛される自民党政治家の出現を待望している。

(北大・教育 牛島 康明)


第一次安倍政権があっけなく幕切れとなって四年の後、2011年12月に永田町で支持団体が共催した実質的な決起集会で安倍氏の演説を聴いた小生も、一年後に同氏が政権への復帰を果たし得るとは全く考えていなかった。

副題を「どうなる安倍政権」とする本講演では、10月総選挙の経緯、政権を取巻く勢力・群像や政権の行方・改憲等に関する率直・淡白・明確な見解が述べられた。今後を占う、説得力のある結論には甚だ共感を覚えた次第である。

政権の命運を左右する改憲の実現は世論の成熟度と「何でも反対」派の掣肘如何であるが、改憲に至る迄に内容と手続が慎重に検討され、適切であれば混乱を招くことにはならないが、講師の説くように改憲は容易ではない。

現政権が国民の関心の集中する東京オリンピックという節目を無事に迎えることが出来れば、その後に日本の政治・社会に安定性をもたらした政権であったのか否かについてその功罪を論ずる時期が到来することになる。

若い頃は生々しい政治の話を不気味・不可解に感じ敬遠していた小生も、中年以降は「一寸先は闇」という奥深さと不確実性に惹かれ、種々解説に触れることを楽しみとして来た。夕食会講演のテーマに「政治」は実に相応しい。

尚、「4層化&多様化するメディア」は各層における役割と意味がある中、紙面の方が読み易く感ずる多くの高齢者は、かけがえのない存在としての第1層の新聞(全国紙・地方紙)に信頼性の高さを引続き期待することだろう。

(東大・法 古川 宏)