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夕食会・午餐会感想レポート

平成29年10月夕食会  「私の棋士人生」

夕食会・午餐会感想レポート

10月10日夕食会

 私の孫は将棋が大好きで、将棋の強そうな中学に進学したいと希望し、2年程前から学習塾にも通い、今年の春、ある私立中学(男子校)に入学しました。そのようなことから、今度孫に会った時の話題にと、若干ミーハー的立場ではありますが、この講演会を聴かせて戴くことに致しました。

 私自身はあまり将棋界のことに詳しくなく、今迄加藤一二三氏はもっと歳を取っている人と思っていましたが、私と全く同い年(77歳)と知り、より興味を持って聴かせて戴きました。

講演の冒頭に、小学4年生の時、新聞の観戦記事に“一番良い手を打ち続ければ勝てる”といった内容の文章を読み、自分はこの世界でやっていけると感じたことを述べ、この記事を読んでいなければ全く違った人生を歩んでいたかも知れないと述べておられました。私自身の人生を振り返って、色んな分岐点があり、色んな偶然で道筋が選択されてきたことを、しみじみと考えさせられました。

加藤氏の話は右に左に、行きつ戻りつといった展開で、集中して聴いていないと話の流れを見失いそうになることもありましたが、キリスト教の熱心な信者であるとのことで、バチカンで行われた大きな行事に参列した時の様子や、ナチスによるユダヤ人虐待時におけるコルベ神父の崇高な行動などについても話され、99%負けていた勝負を大逆転で勝ち名人位を獲得できた時には、キリスト教のお蔭だと感じたそうです。

最初、大山康晴氏の門を叩いた時“見込みがないから帰れ”と言われたそうですが、意地でも帰れないと粘ったことがその後に繋がったとのこと。

7時間考えた末に素晴らしい手を思いついたこともあるそうですが、95%は第一感で閃いた手が良い手だと思っているそうです。大山康晴氏も同じような見解を持っておられたそうでした。

公式戦で61局戦った升田幸三氏を非常に尊敬しておられ、真の師匠と言ったお気持ちで接しておられた様子が良く伝わってきました。

最近新聞を賑わしている中学生棋士藤井四段のことは、このままの調子を続けていけば“天才”と呼ばれるかも知れないと、非常に高く評価されていました。

加藤氏の趣味は音楽ということで、王子ホールで“運命”(ベートーベン作曲)の指揮をしたこともあり、歌も唄うと強調!時間があれば歌って貰いたかったと思いながら、帰宅してからYoutubeで聴いてみたところとんでもない歌いっぷりに驚き、歌って呉れるよう頼まなくて良かったと苦笑致しました。

 

(京大・経 鶴谷 緑平)