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夕食会・午餐会感想レポート

平成29年7月午餐会「トランプ政権半年総括」

夕食会・午餐会感想レポート

7月20日午餐会

「トランプ政権半年の総括」と題した小松浩氏の講演は、危機的状況とも見えるトランプ政権と安倍政権の現状にかんがみ興味深いものであった。

アメリカ大統領として戦後最低の支持率にあえぐトランプ氏だが、表向き相変わらず意気軒昂である。選挙期間中の「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」のスローガンに続き「KEEP AMERICA GREAT」を二期目のスローガンに選び既に商標登録したとも報じられた。彼の言うアメリカ ファーストは、アメリカが自国の問題に専念するという意味であれば、イラク戦争とその後のテロリズムの世界的拡散という破滅的現象を生み出したアメリカの牙を自ら抜くことになるのだが・・・・。 <

就任半年の間に、トランプ氏は前任者のオバマ氏の政策をことごとく覆す動きを示し、世界を混乱させている。たしかにアメリカ人の若い兵士が、ミッションのはっきりしない戦争で殺されたくないという国民感情を背景としたアメリカ ファーストを唱えるトランプ氏への支持と、仏国の大統領選で敗れたルペン氏の「日本みたいになりたい。日本がうらやましい」と言ったという言葉には人間の心情として、通じるものがあるような気がする。東アジアの果ての孤島という地理的環境と平和憲法が世界の中での日本の存在を特異なものにしているのかもしれない。

今後、北朝鮮の核武装の進化に対抗する形で、日本の核武装を議論しようとする動きも出てくるであろうが、それは平和への本質的解決方法ではないし、パールハーバーを歴史に刻んだアメリカが許さないだろう。人類の未来を考えても絶対にその方向に舵を切ってはならない。

世界の二大大国となった米中との関係は、否応なしに更に進化しなければならない。特に中国とは、地理的距離の近さ、長い交流の歴史の中での愛憎関係が入り混じっているが、あくまで経済・文化・科学的交流をベースとした未来志向で臨む必要がある。

日本、韓国、北朝鮮、中国、ロシアの地域的連携の道を唱える指導者は現れないものか。角突き遭わせて互いを非難しているばかりが能ではない。隣国を非難することで、自分の地位の確保を図っている、いわゆる指導者のせいで、国民はいかに多くの損失を被っていることか。 どこの国も国内に数多くの複雑な問題を抱えるが、利己主義、排他主義に陥ることなく、安全保障・環境・食糧・貿易問題などで国際連携を基軸にしていただきたい。またこういう世の中でメディアは民主主義を支える開放性と平等を基本とすべきであり、独自の主義主張から来る立ち位置の違いはあっても、事実をゆがめて報道してはならない。さらに権力におもねらない健全な主張と公正な議論を戦わす場を提供することが重要であるという小松氏の主張を支持したい。

(北大・教育 牛島 康明)


トランプ政権半年の総括と言う大変時期に適ったテーマにつき小松 浩講師がジャーナリストの立場から熱弁をされ参考になり、また考えさせられました。特に安倍 晋三政権との類似は適確な分析で、①縁故主義 ②力による分断政治(敵か味方かの峻別)➂批判嫌い、メディアとの対決 の3点の類似は同感しました。特に、安倍政権の近隣諸国との関係については、米国依存だけではなく、我が国として主体的な考えの下、将来を見据えて取り組み方を熟慮すべきだと思いました。例えば、北朝鮮に対しても「圧力」一本だけで良いのか。72年前の我が国と類似の状況の同国に対する対応は外にもあるのではないかとも思いました。平和の状況が永続するように節に望みます。

(東大・法 谷合 昭夫)