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夕食会・午餐会感想レポート

平成30年6月夕食会「100歳まで元気に過ごす健幸な身体づくりの最前線」

夕食会・午餐会感想レポート

6月8日夕食会

人生100年社会の到来がマスコミなどに盛んに取り上げられ、第一次ベビーブーム時に生を受け古稀を無事過ぎた世代としては、今回の講演「100歳まで元気に過ごす健幸な身体づくりの最前線」は正にタイムリーであり、直ぐに聴講申込みをさせて頂きました。

周知のように、“健康寿命”と“実際の寿命”とは異なり、“人生100年”に関わる議論でどちらを指すのか、時に曖昧なように思われます。両者の違いは約10年程度であっても、生活モードは質的に多いに異なるため、街創りを含む社会インフラ、行政、経済政策は勿論のこと商品・サービス内容などは大いに違ってくる。こうした違いは、都市部と地方ではさらに深刻になる。例えば、“車社会からの脱却”も都市部と地方での“健康高齢者”と“被介護高齢者”では全く対策が違ってくる筈です。また、“健康な高齢者”の生活は能動的であるのに対して、“被介護高齢者”ではかなり受動的なために“生き甲斐をどのように持ち続けるか”のケアも重い課題となる。“健康高齢者”もいずれは“被介護高齢者”となり、“老々介護”状況や場合によっては“孤独死”が近い将来に日常化するは必至であるので、広い視野を保ちながらも対策をきめ細かく、関係各部門が連携してバランスよく進められるのが望ましい。

「100歳まで元気に過ごす健幸な生活の維持」に関わる内容・課題は、上記のように、外に向かっては、“高齢者”を取り巻くコミュニティ・街・企業活動・地方自治体・国のレベルに拡がり、個に対しては身体内部の健康維持・機能維持など、幅広く亙っている。

今回の身体内部の健康維持の議論の中で、“感覚器官や主要臓器自体の寿命”が気になりました。これらも歳相当に老化が進んでも“健康寿命”と“実際の寿命”とに差があり、また器官や臓器の種類によっても両者に差があるのではと推量しました。例えば、心臓や腎臓では不具合があっても、ペースメーカーや透析などでの機能補完が可能であっても、肝臓での補完手段は不幸にして存在しない。また、臓器毎に機能劣化のスピードにも多分差があり、劣化の進展を抑える対策も異なる筈であり、これは“薬による治療”ではなく、基本的には“食事による栄養摂取”のようなバランスのとれた“未病対策”となりますが、こうした主要各臓器(感覚器官も含む)に関する詳しい対策提案が“蛋白質による筋肉強化”以外に無かったのを少し残念に思っています。

「100歳まで元気に過ごす健幸な生活の維持」に関しては、個を取り巻く環境も含めた幅広い議論とバランスが取れた対策が検討されるのを望む一方で、今回のような個人レベルで採り得る“正確な最前線情報”を幅広く紹介して頂けることを切望します。

(京大・工修 井上 實)